
大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
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| No.011 東南アジアから来た手紙 6月27日 土曜日 遠藤です。みなさんこんにちは。 先日喫茶店でトイレを使いました。最近のトイレは、芳香剤としてポプリを使っているとことが多く、このお店もトイレの上にポプリの入った籐のかごが置いてありました。 かごの中のポプリをみてみるとバラの花びらや、ラベンダーの花とともにこんなものが入っていました。 ![]() これは、ソリザヤノキと言って、東南アジアに生えている高さ10メートルにもなる木の種子です。 日本には、この木は生えていませんが、似た仲間に「ノウゼンカズラ」があります。 このポプリになったソリザヤノキは赤く染められています。自然の状態のソリザヤノキはこのような色をしています。 ![]() ソリザヤノキの種子には香りはありませんので、種子を赤く染めて、高価なバラの花びらの代わりに増量剤として使っているのだと思います。 ソリザヤノキの種子は種子の周りにある羽を使ってグライダーのようにゆっくりと大きく旋回しながら遠くまで飛んで、子孫を広い範囲に増やそうとします。 ソリザヤノキの種子とそっくりな形をしたハネフクベの種子は、ドイツのエトリッヒとウエルズがグライダーを開発する際、参考にしたそうです。 染めていないソリザヤノキの種子は、飛ばしてみると、私の背の高さからでも10m程度は軽く飛んでいきますので、10mにもなる木の上から、種子が飛び出したら、大変遠くまで飛んでいくと思います。 東南アジアに実ったもののポプリとなったソリザヤノキの種子は、大空を優雅に旋回して未来の種になることはできませんでした。 その代わりに、バラの花びらのかわりとして、はるばる東京の喫茶店までやってきたのです。 私は、その赤く染められた「東南アジアからの小さな手紙」を家に持って帰り「花びら」をよくのばしてとばしてみました。 羽のようになった部分がちぎれているので、きれいな種子ほどは飛びませんでしたが、種子は私の部屋をなんとか小さく旋回しました。 そのとき、東南アジアの森に吹く暑い風が一瞬頬をよぎったような気がしました。 No.010 ワールドカップと牛たん弁当 6月19日 水曜日 遠藤です。みなさんこんにちは。 ![]() サッカーの試合は今まで全く見たことのなかった私でしたが、スエーデン・アルゼンチン戦、日本・トルコ戦の2戦をどちらも宮城スタジアムで見ることができました。 サッカー初心者の私が2戦を見て思ったのはワールドカップの楽しみには 世界最高水準の技術を堪能すること。 自国のチームを応援する楽しみ。 この2つがあることがわかりました。 今日、観戦した日本・トルコ戦を見た印象としてはまだ日本はこの2つの楽しみを1回の試合で得られるほどは成熟していないようでした。 もちろん例えばブラジルの国民はこの2つを同時に楽しめる幸せを享受しているといえるかもしれないのですが、私たちだって複数の試合を観ることでその楽しみを得ればいいと考えることもできます。 幸い今回のワールドカップは日韓共催、チケットさえ手に入れればサッカー先進国のすばらしい技能も、母国を応援する熱狂もどちらも手に入れることができます。 ライブで、試合を観戦して、サッカーの楽しさをちょっとわかった私ですが、2試合でどちらがおもしろい試合だったかといわれれば、スエーデン・アルゼンチン戦の方がすばらしかったと思います。 次回ワールドカップは2006年、そのときには2つの楽しみを1回の試合で得られるような強いチームに少しでも近づいてほしいと思いました。 さて、宮城スタジアムのある仙台の名物といえば「牛タン」です。 ちゃんとした専門店(たとえば仙台駅東口の利休)に行きたかったのですが、 日帰りで観戦に行ったので帰りの新幹線で、「牛タン弁当」を食べながら帰りました。 ![]() 弁当についている紐を引っ張ると生石灰と水が反応して弁当を発熱させ、いつでも暖かなお弁当が食べられる仕組みのお弁当でした。 お弁当を食べるために割り箸を使おうとしたら、 ![]() 「この箸はアスペン材(カナダ産)を使用してます」と書かれていました。 ふつう割箸は、スギなどの材木を取った後の端材を使用するのですが、アスペンとはどんな木なのでしょうか? 調べてみると、アスペンとはヨーロッパヤマナラシといって、ヤナギ科のポプラの仲間の木を指していることがわかりました。 ポプラ材はマッチ軸木としての用途が有名ですが、やはり最初は自然に生えている木を切ったので、乱伐され、自生のポプラが減ってしまったようです。しかし、その後早生の品種(イタリアポプラ)が開発され、栽培によって必要な材を得られるようになりました。 この箸の場合、自生のヨーロッパヤマナラシを切っているのではなく栽培された木を使っているとのことでした。現在、カナダ産から中国産に産地の変更をしており、また、栽培樹種は1種ではなく、その栽培樹種についての詳細はわからないとのお話でした。 箸袋の記載はちょっと紛らわしいですね。 参考: 箸に使われる素材について解説してあるサイトがありましたので、興味を持たれた方はご覧ください。 http://www.shinwa-nara.co.jp/sozai.htm そして、私の食べたお弁当のサイト http://www.kobayashibento.com/index.html こばやしの担当の方にはアスペンについて、電話で取材してみました。 また、割り箸を実際に納入しているシンギの担当の方にもお世話になりました。 ありがとうございました。 最後になりましたが、ここでコラムを書かせていただいて、この回で10回になりました。読んでいただいているすべての方に感謝します。ありがとうございます。 No.009 とれすぎたチケット 6月9日 日曜日 遠藤です。みなさんこんにちは。 ワールドカップのチケットを取った話をしたいと思います。 ![]() 私はサッカーにはあまり興味がなかったのですが、私がよく見に行くサイトにモバイルニュース(http://www.mobilenews.ne.jp/)というのがあります。 記事もすばらしいのですが、それよりも、主催者の山田道夫さんという方の日記が含蓄があって、楽しいのです。 山田さんはサッカーのファンで、彼の日記を読んでいるうちに、サッカー自体に興味を持つようになり、ワールドカップのテレビ観戦をするようになったのですが、見ているうちにせっかく日本で試合をしているのだし、1試合でも良いからライブで見てみたいと思うようになりました。 チケットは、http://www.fifatickets.com/というサイトで取るのですが、新聞で報道されるくらいの難関で、つながらないばかりか、つながって、チケットがとれるまでに 1)クレジットカード番号の記入と約款の承認 ↓ 2)試合を選択 ↓ 3)チケットの種類と数を選択 ↓ 4)席の確定と確認 ↓ 5)個人情報(住所等)の入力 ↓ 6)もう一度クレジットカード番号の入力 ↓ 7)最終確認 ↓ 8)購入 という段階を経ます。 しかし、大変な混雑のためか、たとえばせっかく(7)までいっても、(8)へ行くボタンを押した瞬間にサーバーが混雑していると、また1からやり直しということになってしまいます。 「戻る」が使えればいいのですが、1ページ戻るのではなくて、全部最初から戻ってしまいます。 しかも、VBScriptで書かれているので、IE以外ではエラーがでたりしたという報告もなされていました。 ちなみにサーバーはWindows 2000+IISでした。全世界から猛烈なアクセスがあるサイトで、この構成はもう少し考えた方が良かったと思います。 なんとか数時間のアクセスの末、ようやく1枚チケットがとれました。 ここで終われば、良かったのですが、まだ続きがあります。 喜んで、翌日のお昼ごろに東京国際フォーラムに仮設されているのチケットセンターに行ったところ、とれているはずのチケットに加えて、取っていないはずの宮城で行われる「メキシコ対エクアドルのチケット」がとれていることがわかりました。 係員に取った覚えはないといったのですが、苦情はイギリスのバイロム社に直接国際電話で個人的にコネクションを取るしかなく、キャンセルはできないといわれてしまいました。また、現在は記名式のチケットは有名無実化しているので、友人に譲っても大丈夫である旨、を聞きました。 バイロム社のサーバーエラーで取られた「メキシコ対エクアドル」の試合は明日と迫っていたので、会場のある仙台の友人の何人か電話をした結果、チケットを譲ることができました。 結果的に、チケットの行き先が決まったので良かったですが、チケット販売サイトにアクセスできずにチケットを買えない人がいるかと思えば、取ってもないチケットを買わされることもあるというなんともワールドカップというお祭りらしい体験をしました。 私は、12日のスエーデン、アルゼンチン戦を宮城で観戦する予定です。 No.008 かじったのは誰? 6月8日 土曜日 遠藤です。みなさんこんにちは。 先日、都内の小学校の移動教室に「植物の先生」として参加しました。小学生と普段話をすることがないので、思いも寄らない質問があったりして、楽しい2日間を過ごしました。 移動教室は山梨県北巨摩郡高根町にある山荘で行われたのですが、標高が約1500m程度あり、夜になると、気温が15度程度しかありませんでした。 周囲の植物を観察してみると、まだサクラが咲いていたり、ヤマボウシがつぼみだったりしてまだ「春」の装いでした。 移動教室2日目は、山草の近くをハイキングすることになっていました、モミ、ツガ等の針葉樹と、カエデ、ミズナラなどの広葉樹の混交林のハイキングコースを子供たちと歩いていると、まだ新しくみずみずしいカエデの葉がたくさん道に落ちていました。 子供たちが引っ張ってむしったのかな?と思って、手に取ってみると、カエデの葉についている茎(葉柄といいます)がついていませんでした。 それまではあまり気にしていなかったのですが、よく周りを見ると、落ちているカエデの葉のほとんどに葉柄がついていませんでした。 ![]() 上の写真の左側が私が枝から直に取ったカエデの葉、右側2枚がハイキングコースに落ちていた葉柄のないカエデの葉です。 なんで葉柄がないのでしょうか?しかも、落ちている葉はカエデだけで、ほかの葉は落ちていても葉柄はちゃんとありました。 葉柄のなくなっている葉の付け根をよく見ると、かじられた跡があることがわかりました。 私も葉柄をかじってみると、かすかな甘みを感じることができました。 きっと、何かの小動物が甘みを求めて、カエデの葉柄を食べたのだと思います。 そのとき、一緒に歩いていた子供の一人が 「あっ、リス!」と叫びました。 目を子供の指さす方にやると、灰色をしたホンドリスがその声に驚いたのか、ふんわりしたしっぽを揺らしてモミの木の向こうへ消えていきました。 葉柄をかじった犯人は彼らなのかもしれません。 |
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