大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
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No.024
名前の付け方いろいろ
園芸店でウインドーショッピング
10月21日 月曜日

遠藤です。みなさんこんにちは。

東京では、秋の風が心地よい日が続いています。みなさんのところではどんな風景なんでしょうね。

私の家の近くの国道沿いに植えられているハナミズキは5月頃に、白やピンクの大きな花を咲かせて、私たちを楽しませてくれます。しかし実も花に負けずにすてきで、こんな赤くてかわいい実をつけています。



先日、園芸店を訪れてみました。園芸店は買い物をしなくても見ているだけでも楽しいですね。ぐるりと広い店内をあれこれ見ながら一周してみました。いろいろな草花にその植物の名前を表す名札がついていましたが、そのほとんどが通称で呼ばれており、植物の正式な名前ではないようです。

お店では、植物学的には正しくなくともかわいい名前になっているみたいですね。

本来どういう名前で呼ぶのが良いのかについては難しい問題がたくさんありますので、ここではお話ししませんが、お店で売られている植物の名前にはいくつかの命名パタンがあることがわかりました。

1)日本語の名前。
たんぽぽ、とか、ひまわりとか、昔からある園芸植物は日本語で呼んだほうがわかりやすいですよね。



2)英語の名前。
日本語の名前があっても英語の名前の方が響きがよかったりわかりやすかったりする場合には英語の名前を植物の名前にするようです。



猫のしっぽ、そんな感じの花序(花の集まり)ですね。

3)学名の一部を使った名前。
2)の英語を使った名前と似ていますが、英語の名前では長すぎる場合や、英語圏以外からやってきた植物の場合、学名の一部を植物名とするようです。学名はラテン語の単語でできており、ちょっとエキゾチックな感じの響きがしますね。



ベゴニアという名前はこの植物の学名の一部で、グループ名にあたります。M.Begonさんというサンドミンゴの総督(1638-1710)にTournefore(1656-1708)という博物学者が献名したものです。

4)1から3をミックスした名前



たとえば、この「サンシャインダイソウディア」という植物の場合、前半の「サンシャイン」は英語、後半の「ダイソウディア」はラテン語の学名の一部をとった物と思われます。

こんな風にして、この語はどこからやってきたのか?という点に気をつけながらウインドーショッピングするのも楽しいのではないでしょうか?


No.023
モミジとカエデ
10月10日 木曜日



秋になると自宅から見える山々は赤や黄色に染まります。なかでも、カエデの紅葉は大変すばらしい色調を帯び、私は、毎年楽しみにしています。

この時期、「植物の勉強をしています」と言うと「モミジとカエデはどこが違いますか?」とよく聞かれます。

なかなかその場で、手短に説明するのは難しく、「同じであるとも言えますし、違うとも言えます」などと、要を得ない答えでお茶を濁してしまうこともあります。

答えるのが難しい理由は「もみじ」も「かえで」もどちらも植物名ではないからです。

実は、カエデは、「ソメイヨシノ」のようなある植物を指す名前ではなく、「サクラ」のようなグループを指す言葉なのです。

カエデの仲間は日本では26種があり、なかでも紅葉が美しいオオモミジや、黄色に色づくイタヤカエデは名前をご存じないかたでも、一度は見たことがあると思います。

一方モミジというのは、植物名でも、「カエデ」のような植物のグループの名前でもありません。

モミジを漢字で書くと「紅葉(モミジ)」となるように、紅葉、黄葉するすべての植物や、紅葉、黄葉の現象をさしている言葉なのです。

「もみじ狩り」という言葉があって、「かえで狩り」という言葉がない理由は、26種あるカエデばかりを選んで拾うのではなく、黄色に色づくクヌギや、ブナ、きれいな赤となるニシキギも、拾って「もみじ」を楽しむからではないかとおもいます。

古今集に収録され、百人一首で有名な猿丸太夫(さるまるだゆう)の歌

「奥山に もみじ踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき」

のもみじも、カエデのたくさん生えている山で、と言う意味ではなく、赤や、黄色に色づいた落ち葉のつもった山の風景を思い浮かべるとよりいっそう趣も深くなります。

モミジとなる植物の代表であるカエデがあまりにもすてきに色づくので、いつしかモミジとカエデは同じものを指すようになってしまっているようです。


No.022
スペースフレンド2002
空を飛ぶたね
10月1日 火曜日

遠藤です。みなさんこんにちは。
9月21から23日の連休を利用して、財団法人日本宇宙少年団*1)「スペースフレンド2002」というイベント*2)が開催されました。



宇宙少年団という団体はあまり聞き慣れないと思いますが、1984年にアメリカではじまった科学教育振興の団体で、日本、アメリカだけでなく各国に同じような団体があります。

理事長は松本零士さん、団長は毛利衛さんとあまり聞き慣れない割には豪華な団体なんですよ。

私は、スペースフレンド2002の中で行われたワークショップの講師として参加してきました。

宇宙と植物?・・あまり接点がないように思われますが、「飛ぶ」というキーワードで関連づけ、ワークショップを行いました。

動物はその分布範囲を広げるために自ら動くことができます。では、植物はどうでしょうか?植物は移動できません。しかし、地球上ほとんどの地域で、植物は繁茂しています。

どうして、植物は地球中に広がっていったのでしょうか?

答えは「たね」。

植物は動物のように自らが動くことができない代わりに「たね」を拡散させることによって分布を広げているのです。

では少しでも、遠くに「たね」を運ぶにはどうしたらいいでしょうか?

・「たね」をできるだけ軽くする。
・翼をつけて飛ぶ。
・動物にくっついて動物に運んでもらう。
・動物に食べてもらって、運んでもらう。

等、いろいろなやり方があります。

そのなかでも、翼をつけて飛ぶという方法に注目してみることにしましょう。

飛ぶというのにもいくつかの方法があって、以前、6月27日に紹介した「東南アジアから来た手紙」*3)のように、グライダーのように飛んでいく物や、タンポポのような綿毛を持つ物、カエデのようにくるくる回りながら落ちる物まであります。

カエデのくるくる回って落ちていくやり方は、「たね」がすとんと落ちる代わりにくるくる回ることで落下の時間を稼いで、その間に風が吹けば遠くに行けるという利点と、落ちたところが生育に適さない乾燥地だった場合に風によってもう一度飛んでゆけるという2つの利点があります。

カエデの「たね」が、くるくる回っているところをじっくり観察できるといいなと思い、風洞を作ってみました。



この右側にあるのが風洞です。風洞の下の方にDC駆動のファンが入っており、その上の整流器(中にストローがたくさん縦に入っている)を通し、円筒形の筒の中に整流された空気を送ります。

各部分は簡単に分解でき、また風洞本体部分はプラスチックのフィルムを丸めただけなので、コンパクトにたたんで持ち運びができるようになっています。

空気の量は真ん中にいる子供が持っているコントローラーで調整してちょうどいい風量にします。

すると、カエデの「たね」がホバリングしたように一カ所で回転し続けます。

この装置ははじめ、簡単にできるだろうと思っていたのですが、ここまでになるのに約1年半程度かかってしまいました。

風洞は、大きければ大きいほど、また、風の早さが早いほど安定すると言われています。持ち運びのできるようなコンパクトなサイズで、しかもカエデの「たね」を回すようなゆっくりした風を安定的に送るのは大変難しいのです。

写真では、残念ながらたねが回る様子をお見せすることはできませんが、教室では参加者たちに好評でしたよ。

1)
http://www.yac-j.or.jp/


2)
http://www.yac-j.or.jp/activ/schedule/2002/spacefriends/index.html


3)
http://www.macmem.com/endo/mb200206.html



macmem.com
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