大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
不定期に更新します。

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No.039
子供科学フォーラム
実物図鑑を作ってみよう
2月21日 金曜日

遠藤です。みなさんこんにちは。

今月の1日にお台場にある日本科学未来館 *)において、子供科学フォーラムというイベントが行われ、私はその講師として参加しました。子供達に実験を通じて科学に親しんでもらおうというイベントです。

未来科学館のwebページをご覧になればおわかりかと思いますが、生物系の博物館ではありません。今回のフォーラムも物理科学系のワークショップが多い中で私は「植物の実物図鑑を作る」というワークショップを担当しました。

植物の図鑑はたくさん日本で出版されていますが、写真や絵、ましてや文章だけではその植物がなんだかを調べるのは難しいですよね。

実物の葉で図鑑が作れればもっとより簡単に名前がわかって子供達が植物に親しみがもてるのではないかと思い、実験・観察用にキットを作ってみました。

実物の葉で図鑑を作る上で、「実物の葉はもって歩きにくい」という問題点があります。みなさんも辞書の間に葉を挟んで押し葉にした経験がある方も多いと思います。しかし、乾燥した葉はもろく、持っているうちにすぐ形が崩れてしまい、残念な思いをされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、レンタルCD屋さん等の会員証などを防水のためにラミネートする「ラミネートパウチ」の機械を使って、葉を封入することを考えてみました。

子供達の実験風景を見ながらご説明しましょう。



まず、子供達に用意した10種のうちでランダムに選んだカエデの葉5種とその種名を書いた名札を入れた「葉っぱキット」とA4の大きさのラミネートパウチ用のビニールシートを配ります。

子供達は出来上がった見本を見ながら自分がもらった「葉っぱキット」の葉を観察して、自分がもらった種が10種の見本の中でどの5種なのかを調べながらパウチフィルムにレイアウトしていきます。



このワークショップはいざ始めて見ると意外に保護者の方に人気で、至る所で子供達よりも熱心なお母さん、お父さんの姿を見かけました。
一番奥の彼女もお母さんの方が熱心ですね。



レイアウトが終わったら、先生にカエデの葉の名前がちゃんと会っているかどうかを見てもらって、機械の前に並びます。



そして、パウチの機械に入れて・・





完成しました。

どうですか?きれいにできていますね。

本当は、白い台紙の上に葉を貼ってパウチをすれば、見栄えは良くなるのですが、植物の葉は表面だけでなく、裏面にも種名を決める大事な特徴があることが多いのです。台紙を貼らないで、両面が見えるようにしておいたのは、そんな意味もあるのです。

今回は5種いっぺんにパウチして、1枚のカエデ図鑑を作りましたが、本当は、カエデ葉の実物標本もこんな風に



一種ずつばらしてカードのようにすると、植物を調べるにはよりいいですよね。しかし、今回は当初の予定を大幅に上回る300人を超える参加者があったため、きめ細やかな指導や、一人一人の子供達と十分お話ができなかったのがちょっと残念です。

みなさんが自宅でやるとき、つまりパウチの機械がないときには、透明なプラスチック版(模型屋さんや、東急ハンズなどで「プラ板」というと出してくれます)と、図書館などでほんのカバーに使う透明なフィルム状の粘着テープで代用することもできます。フィルム状の粘着テープは大きな文具店に行けば購入することができます。また、最近は透明のガムテープも手に入りますので、小さなものならそれで十分きれいなものができます。

何も、図鑑として作らなくても本の栞としてもかわいいのができますので、是非一度トライしてみてくださいね。

*)
http://www.miraikan.jst.go.jp/
日本科学未来館のサイト

・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・

最後にこのコラムをご覧の方にNASDA提供の2003年カレンダーをプレゼントしたいとおもいます。



こんな感じで、宇宙が好きな方にはきっと気に入ってくださると思います。
あまり一般には出回っていないので珍しいもののようですよ。

1つしかないので、もしも、たくさんの方が申し込まれた場合には抽選になってしまいますが、ご希望の方はメールでサブジェクトに「NASDAカレンダー希望」と書いて
endo@mobilegarden.net までご応募ください。

プライバシー保護の観点からいただくメールには住所や電話番号等の個人情報はお書きにならないようにお願いいたします。こちらで抽選をして、当選者の方にメールを差し上げます。当選者の方だけに住所をお聞きしてカレンダーを送料はモバイルガーデン負担でお送りしたいと思います。

抽選は2月28日に行いますのでそれまでにメールでご応募ください。3月のこのコラムで発表したいと思います。


No.038
オフラインミーティングのすすめ
軽い気分で、参加してみては?
2月17日 月曜日

遠藤です。みなさんこんにちは。

マックメムというマックのメモリー屋さんで、コラムを書かせていただいていますからこのコラムを読んでいらっしゃる方はMacをお使いの方が多いと思います。

Macを使う人たちは自分たちのまわりには少なくて普段友達とMacの話をしても通じない、なんていうお話をよく聞きます。

近年のネットワークの発達で、全国に陸の孤島のようになっているユーザーの結びつきができるようになりました。

身近にユーザーが少ないということも手伝ってか、ユーザー同士の結束はWindowsユーザーのそれと比べて大きいように思います。

実際Macユーザーに会ってみると、はじめて会った人なのに昔からの友達に会ったような、そんな不思議な感覚にとらわれることがあります。

そんなきっかけを提供してくれるのが「オフラインミーティング」です。
よくオフ会なんて略されることもありますよね。

私がここでコラムを書かせていただいている直接のきっかけは2年前のマックワールドエキスポの夜に行われたマックメムのオフラインミーティングで、店長の猪川さんにお会いしたのがきっかけなんですよ。

私はオフラインミーティングはその時はじめてで、緊張して出かけましたが、猪川さんだけではなく、参加者のみなさんとすぐにうち解けあうことができ、楽しい時間を過ごすことができました。

オフラインミーティングは、行くまでは心配で緊張しますが、行ってみると一人で参加しても楽しいものです。

是非、自分が良くチェックされるwebなどで、オフラインミーティングが行われることがあったら、参加してみてください。

マックメムでも年に何回かオフラインミーティングが行われます。このコラムを読んでくださっているMacユーザーの方はきっと参加して楽しい会になると思いますよ。

オフラインミーティング、行きたくなってきましたか?

もしも、行ってみたいけれどやっぱりちょっと心配という方がいらっしゃったら最初は大きなオフラインミーティングに友人と参加されると、負担が少なくって良いと思います。「ホームページでよく見かけるオフ会って、どんなものかな?」というのがわかって楽しいと思いますよ。

私は、それでもそんなにオフラインミーティングに参加する方ではないと思いますが、今度、パムフェス2003*1)というオフラインミーティングに参加しようと思っています。パムフェスというのはパームや、クリエと呼ばれるOSに「パームOS」というのを使った携帯端末(電子手帳の進化したようなものです)を使っているユーザーのオフラインミーティングです。

これらの携帯端末はMicrosoft社のPocketPCと常に比較される存在で、携帯端末界のMacといってもいいような存在なのです。

PocketPCが自社のWindowsとの連携性だけを考えているのに対してパームはMacとも連携できることもあってMacユーザーで、パームを使う人はとても多いのです。

もしも、あなたが、Macユーザーで携帯でアドレスを管理するのは入力が大変だとか、電車の中でメール読んでみたいとか、青空文庫*2)の本を読んでみたいなんて思ったとしたら、是非一度パームを使うことを考えてみてください。そして、ほぼすべての現行機種のユーザーが参加するパムフェスに参加して、「こんなことがしたいんだけどどの機種がいい?」「パームって、どんな便利なことができるの?」って聞いてみてください。

きっと、丁寧に説明してくれると思いますよ。

*1)

http://go-peach.com/pamfes2003/
パムフェス2003のページ
昨年度開かれたパムフェス2003は200人以上の方が参加され、今回もたくさんの方が参加されると思います。

*2)
http://www.aozora.gr.jp/
青空文庫のページ
主に著作権の消滅した作品をボランティアの方がテキストに起こしたものです。
中原中也、夏目漱石、宮沢賢治の作品をはじめたくさんの作品を無料で読むことができます


No.037
霜柱・シモバシラ
2)解説編
2月12日 水曜日

遠藤です。みなさんこんにちは。
私の自宅ではシモバシラの霜柱(しもばしら)だけではなく、みなさんのよくご存じの「霜柱」もたくさんできます。



これを朝、さくさくと踏みしめるのが私の冬の朝の密かな楽しみなんです。

さて、前回のシモバシラの霜柱(しもばしら)の観察、どうでしたか?

あまり見かけない現象なので理解するのがちょっと難しかったかもしれませんね。
そこで、ちょっと前回の観察でわかったことを復習したいと思います。

1)シモバシラという植物はシソの仲間で、冬になると地上の部分は枯れて軸だけになってしまう。

2)シモバシラの霜柱(しもばしら)は夜にできはじめて朝には完成する、そして日中には溶けて無くなってしまう。

3)霜柱(しもばしら)は枯れたシモバシラの茎の縦に走っている繊維にそってフィルム状にできる。

4)霜柱(しもばしら)ができるスピードは1時間に4−5ミリ。

5)マジックでつけた印は茎からだんだん遠くへと移動しているので、霜柱の原料である水分は、空気中の水分が枝に着いて積み重なってできたのではなくて、茎の中から出てきた水分が、今ある霜柱(しもばしら)を押し出しながら凍っている。

ということがわかりました。

最後の5)は、みなさん気づかれましたか?

枯れている茎なので水が運ばれてくることはないかと思っていたのですが、霜柱の原料である水はどうやら茎の中から外へ向かって供給されているようです。

もしも、霜柱が成長していても印が動いていなければ水分はシモバシラの外から(空気中)から供給されたことになります。

さて、みなさん、この水はどこから来たと思いますか?

庭にできる霜柱のように生命現象と無関係に霜ができるのでしょうか?それともほかに原因があるのでしょうか?

私は、土の中の水分をシモバシラが吸い上げているのではないかと思っています。

シモバシラについては、面白い現象が観察されるのでたくさんの方がいろいろ書かれている文章をインターネット上で見ることができます。たとえば東北大学の先生の書かれた文章では・・・

「シモバシラの霜柱 *1)
・・・茎の維管束の中の水が凍って茎の外へと伸びだしたもので、持ち上げているのは小石ではなく、茎の表皮です。それがこの植物の名の由来です。一度これが出来ると茎の構造は壊れるので一年にたった一度だけ、シモバシラが咲かせる冬の花というわけです。」

と書かれていました。
要約すると

シモバシラは
A)茎の中の維管束の中の水が凍って外に出ることによって霜柱(しもばしら)ができる。
B)霜柱(しもばしら)は1年に1度だけできる。

と書かれています。

しかし私の観察では、B)については、同じ茎に何度も霜柱(しもばしら)ができることを観察しているので間違いだと言えます。

A)については茎の中のさらに小さな管である維管束に入っている(たまっている)水分だけであれだけの氷を作ることができるかどうか疑問です。

私は、たぶん地下からの水の供給もあるのではないかと思っています。

シモバシラは多年草で、地上の枝は枯れていますが、実は地下の根はまだ生きています。ですから地下から汲み上げられた水が枯れた枝を通って外へと出るときに氷の霜(しも)となるのではないかと思っています。

確証はありませんからこの疑問を解決するにはさらに観察をしないといけないと思います。

しかし私がそのように思ったヒントとしては

あ)シモバシラができたときの地中の温度は地表面よりも高温であった。

い)シモバシラの苗全体を冷凍庫に入れてシモバシラができるかどうか実験したところ、できなかった。

という報告があるので、地下からの水の供給があるのではないかと思ったのです。

あ)については、地上が氷点下(私たちの観察では午前2時半には氷点下2度でしたね)でも地下には液体としての水がありそれを地上へくみ上げられる可能性を示しています。

い)については、機械的に茎の中に貯蔵されている水分が凍ってシモバシラができるのであれば、い)の実験でもシモバシラができるはずですが、地中の生きているはずの根まで凍ってしまって水の供給ができなかったためシモバシラができなかった、と考えれば説明することができます。*2)

最後になりましたが、シモバシラは本州の関東地方以西の太平洋側と,四国,九州の山地だけに分布する種で、世界中で日本にしか生えていません。世界的に見れば珍しい種ですが、そんなに探すのが難しい種ではありません。シモバシラの霜柱(しもばしら)は朝早くにしか見ることができないため、そんなに知られていないのだと思います。

みなさんも、実は身近に目にしているけれど、見逃しているのかもしれませんね。

冬の朝なんていう植物のもっとも出逢わないような時期にでも観察することはたくさんあります。
冬の朝、霜柱をさくさくさせながら近所を観察散歩をしてみませんか?

*1)
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi5/mm5-1.htm

*2)
この私の説にはいろいろ問題があります(どこだかわかりますか?)ので、完全に肯定しきることはできません。

本当にこのようなことがあるかどうかを調べるにはさらにいくつかの実験を組み合わせないといけないでしょう。


No.036
霜柱・シモバシラ
1)観察編
2月3日 月曜日

遠藤です、みなさんこんにちは。

ある寒い日の朝のことです、私の庭に生えている「ある植物」はこんな姿になります。



おもしろいですね。
植物の枝に霜柱がびっしりついています。

みなさんは、私の家がとても寒いところにあるので霧氷ができたのかと思われましたか?
でも、そうではありません。こんな風になるのはこの植物だけなんです。

この植物はなんとその名も「シモバシラ」という植物なんです。
毎年、このシモバシラという植物は枯れた茎に霜柱(しもばしら)をつけるのです。

なにやら、ややこしいですね。

シモバシラは寒い日の朝起きてみると枯れてしまった枝に写真のように氷ができていて、お昼頃にはすっかり氷が溶けて軸だけになってしまいます。

今は、地上部分は枯れて、茎だけになっていますが、春になると、地下にある生きている部分から芽が出てきて、葉も、花も咲かせます。



シモバシラの花はこのような形をしているのですが、お刺身についてくる「しその花」と似ていると思いませんか?シソと、シモバシラは同じ仲間の植物なんですよ。

さて、みなさん、朝起きるとできていて、お昼前には消えてしまうシモバシラの霜柱、どんな風にできるか知りたいって思いませんか?

そこで、ある寒い日の夜2時間置きにシモバシラを観察してみることにしました。
今回はその観察記録をみなさんと一緒に見ていきたいと思います。

1回目の観察。午後10時30分



もう、10時半には少し霜柱ができています。
よく観察すると、





シモバシラの茎の上下方向の繊維に沿って薄い膜のような形で霜柱ができているのがわかります。宇宙ロケットの足下に着いているフィンのような感じと言えばわかってもらえるでしょうか?

2回目の観察。午前00時30分



10時半の時に撮った写真と同じ構図になるように撮った写真です。見比べてみるとたった2時間でも見てわかるくらいに成長してきましたね。思ったよりも成長スピードが速かったので、霜柱の成長スピードも測ってみることにしました。



写真のように霜柱に油性のマジックで線を引いて目印にすることにしました。

3回目午前02時30分
気温は氷点下2度まで下がっています。



12時の時と比べてさらにボリュームが増えてきましたね。
マジックで線を引いた霜柱はどうなったでしょうか?



物差しを見てみると、だいたい8ミリ程度マジックの線が移動していることがわかりました。
2時間で8ミリですから、1時間に4ミリのペースで成長しているようですね。

この茎のほかの茎にも同様にマークをして調べてみましたが、だいたい1時間に4から5ミリの間で成長することがわかりました。


・・・そして、朝、7時。一番上の写真のような立派な霜柱ができていました。

シモバシラの霜柱の観察はここまで。
次回、シモバシラの観察、2)解説編をお届けしたいと思います。


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