
大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
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No.045
定点観測のすすめ
タイムスリップ観察をしてみよう
4月20日 日曜日
遠藤です。みなさんこんにちは。
このコラムではいままで、植物に代表される自然を観察するとき、深く観察すればするだけ新しい発見が待っているというお話をしてきました。
メールや、実際このコラムをご覧になった方とお会いしたときに「遠藤さんみたいによく植物を観察する時間もないし、私の住んでいるところには植物ってあんまり生えてないんです・・・」というお話をよく聞きました。
今までこのコラムでは、「短い期間に深い観察をする」というお話を中心としてきましたが、今回は長い期間でもちょっとづつ観察することで見えてくることがある、というお話をしたいと思います。
みなさんは、学校や、会社にお勤めの時にだいたい同じ道を通るのではないでしょうか?そうすると、街路樹などを毎日ちらっとは眺めて季節の変わり目をそのような木々から感じられることもあるのではないかと思います。何気なく感じていたそんな季節の変わり方、をもうすこししっかりと観察してみようというのが今回のテーマです。
デジタルカメラを持っている方なら、自分が毎日通う道に生えている「お気に入りの木」を決めてみてください。
そして、その木の中から適当に写真に撮りやすそうな枝を1つ選んで毎週1回で結構ですので、天気のいい日に写真を撮ってみてはどうでしょうか?
これなら、毎週1秒あればいいし、写真を撮っておけば、あとでじっくり観察ができます。
ちょっとページの容量が大きくなりますが、私の観察した例を見てみてくださいね。
これは、庭に生えている「ミツバツツジ」というツツジの仲間の写真です。
実際は毎日のように撮影したのでたくさん写真があるのですが、その中から選んでみました。






みなさんはどんなことがわかりますか?
花が咲いてしまえば、この芽は「花の芽だ」とか、「葉の芽だ」ということが簡単にわかりますが、冬の段階ではわからないことが多いですよね、でも、今回のように同じ枝を撮り続ければ、植物の生長の時間を遡って観察することもできます。
今回の観察だと、赤い矢印の芽が葉芽で、青い矢印の芽が花芽であることがわかります。
さらに、よく観察してみると、赤い矢印の葉芽は二股に分かれた2つの花芽の真ん中に必ず出ることもわかります。
これらのことから、次回、冬になったとき、「この芽は将来花の咲く芽なのか、葉の出る芽なのか?」ということが自信を持って当てることができるようになると思います。
そのほかにもいろいろとわかることがあります。あんまり詳しく解説してもおもしろくありませんので、ヒントだけ出しておきますね。
1)写真を撮った日付に注目すると、花芽がふくらみ初めてから花が咲くまでの時間は約一週間と大変短い。
2)花芽(青い矢印)と、葉芽(赤い矢印)では、発達の時期が異なり、花芽の方が先に展開して花を咲かせる
3)一つの花芽の中には3つ程度の花が入っている。
まだ、いくつかありますよ。みなさんわかりますか?探してみてくださいね。
デジタルカメラでの撮影をおすすめしたのは、ふつうのカメラで週1枚しか取らないと、24枚取って現像してみたら、あまりいい写真が撮れていない、という時に24週間分がっかりしてしまう、ということもありますが、デジタルカメラなら撮影した写真の中に撮影した日にちが書き込まれるので撮りっぱなしにしてもいつ撮影したかがすぐわかり、あとで整理が簡単だからです。
え?もう花は終わっちゃったって?
大丈夫。これから花を咲かせる街路樹もたくさんありますし、葉が展開してゆく様子を撮影するのもおもしろいですよ。
私もミツバツツジの葉の展開の様子や、花が咲いたあと、どんな実がなるのかを引き続いて観察していきたいと思っています。
普段お忙しい方も通勤や通学のちょっとした時間を使って植物観察を楽しんでほしいと思います。
No.044
同じ向きで落ちるサクラの謎
春風に教えてもらった秘密
4月8日 火曜日
みなさんこんにちは、遠藤です。
前回、鳥に蜜を吸われたサクラの花が落ちていた話をしました。
はらはらと花びらが散るのが普通のサクラなのに、花ごと落ちている姿はちょっと異様ですね。
しかし、一度、鳥が花をついばむことがあるという知識を知った目で見直してみると、結構どこでも見られることのようです。
私も各地で鳥が落としたサクラの花を見かけました。みなさんの中でも目にされた方は多いのではないでしょうか?
余りによく目につくので、これは辞書に挟んだら押し花にちょうどいいと思い、サクラの花を拾っていたら、ふとあることに気がつきました。
「サクラの花はなんでいつも萼(ガク)を上向きにして落ちているんだろう?」
落ちている場所、どこを見てもサクラの花は萼(ガク)を上にして落ちているのです。

(青い矢印は萼(ガク)赤い矢印は萼を下にして落ちているサクラの花)
これは私がわざと萼(ガク)を上にして置いたわけではなく、みな自然に萼(ガク)が上になるのです。
しかし、更によく見てみると、これは地面に落ちたサクラの花だけで、生け垣のような所に落ちたサクラの花は

このように萼(ガク)を下にして落ちている花が多いのです。
普通にサクラの花を観察して考えると、空気抵抗からいっても萼(ガク)の部分を下にして=サクラの花びらを上にして落ちるのが普通だと思いました。皆さんもそうお思いになるのではないのでしょうか?
そこで、実験して確かめることにしました。落ちていたサクラの花を拾い集めて投げてみることにしたのです。

さあ、結果はどうなったでしょう。

私が落としたサクラの花はほとんどが萼(ガク)を下にして落ちるではありませんか。これは、何回やっても同じ結果でした。
それでは、今まで見てきた萼(ガク)を上にして落ちたサクラの花は単に偶然だったのでしょうか、それとも、、、、
萼(ガク)を下にして落ちた、私の投げたサクラの花を前にして考えあぐねていると、どこからか春特有のすこし強い風が私の背後から吹き抜けました。
「あっ!」
その瞬間、今まで萼(ガク)を下にして落ちたサクラの花は見事にくるっと回転して萼(ガク)を上にしているではありませんか。

これで、謎が解けました。鳥に落とされたサクラの花は落ちるときには空気抵抗の問題から萼(ガク)を下向きにしていったんは落ちますが、一度落ちると、今度は横風にさらされるため、横風に対してより空気抵抗の少ない形、すなわち萼(ガク)を上にして安定するのです。
鳥に落とされたサクラの花でも観察するとおもしろい発見がありますね。学校や、会社に行く途中でちょっと足を止めて観察してみてはいかがでしょうか。
No.043
春を探しに
サクラのあれこれ
4月4日 金曜日
みなさんこんにちは、遠藤です。
私のいる東京ではもうすっかりサクラのシーズンです。
上野公園ではサクラは満開でした。

サクラというとソメイヨシノが有名ですが、公園を見て回るといろいろなサクラの種を見つけることができます。

これがソメイヨシノ
特徴は
・花のあとに葉が出ます
すなわち葉と花は同時には見られません。

この写真はオオシマザクラです。
上野公園に何本か見つけることができました。
特徴は
・葉と花は同時に見られます。
オオシマザクラの葉にはクマリンと呼ばれる芳香物質があり、桜餅を包むのに使われます。
桜餅のあのすがすがしい香りはオオシマザクラの葉に由来しているのです。
もう一種、有名なサクラで葉と花が同時に見られる種にヤマザクラがあります。
ヤマザクラの若い葉の色は赤いですからそこを見て区別できます。
公園にあるサクラはそんなに種類が多くありませんのでこの3種を憶えておけば90%くらいのサクラは見分けられると思います。
サクラの種がだいたいわかってきたら今度は足元を見てみましょう

サクラは散るときには普通1枚1枚散りますよね、ところが、こんな風に花ごと落ちていることがあります。
犯人さがしは簡単です。しばらくサクラを見てみていてください。すぐにわかりますよ。
実はヒヨドリや、スズメが花の根元にある密を吸うために花をつまんでは密を吸い、吸い終わった花を「ぽいっ」と捨てていたのでした。
お花見も東京では今週末が最後のチャンスのようですね。
お花見のついでに植物としてのサクラの観察もしてみてくださいね。
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