
大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
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No.054
郵便局の木?
タラヨウで葉の寿命を探る
7月20日 日曜日
遠藤です、みなさんこんにちは。
みなさんは植物を葉に注目して二つに分けるとしたらどう分けるといいと思いますか?
これは答えがたくさんありますよ。
例えば、一枚の葉が一枚でできている単葉と、一枚の葉が複数枚の小さなパーツでできている複葉とか、葉の縁がギザギザのものと、つるんとしているものとか。(鋸歯があるものと、全縁のもの、などといいます)いろいろ考えつくと思います。
答えはこれだけではありませんよ。まだまだあります、もっと何か思いつくことはありませんか?
冬に木を見たとき、葉が落ちてしまうタイプの木と、冬でも葉が青々している木がありますよね、そのような木をそれぞれ、落葉樹と、常緑樹といいます。
落葉樹の葉と、常緑樹の葉とを比べると一般的に常緑樹はより厚く、色が濃く、葉の表面がクチクラと呼ばれるロウのような層で厚く保護されています。
葉の寿命は落葉する葉の寿命は簡単にわかりますよね、冬にはみんな落ちてしまうわけですから、寿命は一年です。
では、常緑の葉はどのくらいの寿命なのでしょうか?
この間近所の郵便局に行ったところ、このような看板を見つけました。

郵便局の木なんておもしろいですね。何でそういう風に呼ばれるのでしょうか?
郵便局の木の本当の名前はタラヨウといいます。

ちょっと聞きなれない名前ですが、この木は常緑の葉を持ち、葉の裏に釘などのとがった堅いもので字を書くと引っかかれた傷口を保護するために樹脂が出されます。その樹脂が黒い色をしているために葉の裏に字を書いてからしばらくすると、ひっかいて書いた字が浮き出てくるのです。
文字の浮き出た葉を葉書にたとえて「葉書の木」とか、「郵便局の木」などという名前ができたものと思います。
さて、この郵便局の木をよく見ると、誰かさんのいたずら書きのなかに、日付が入っているものがありました。

この葉は、2000年5月23日に落書きされたみたいですね、今年は2003年7月ですからこの葉は約3歳以上であることがわかります。
私は常緑の葉ももって2年位だと思っていたので、結構寿命は長いんですね。
では、常緑と落葉、どっちの生き方が良い生き方なのでしょうか?
植物の生き方としては、葉にしっかりと投資をして長く使った方がいいのかもしれませんが、乾期があると葉からどんどん水分が逃げていきますから葉を持つことで自分の命も危なくなります。
ですから、どうせ乾期に落としてしまう葉には十分に自分の資源を割くともったいないという考えで、落葉する葉はあると一般的に考えられています。
また、寿命が短いので虫に食われたときのダメージが小さいなどの利点も落葉する葉にはあります。
どちらの生き方にも有利な点、不利な点があり、一概にどちらが良いとは言えないようです。
常緑の葉をじっくり使って生きるタイプ。落葉の葉を使い捨てにして効率よく生きるタイプ。人間にも当てはまりそうなタイプ分けですね。あなたの生き方はどちらのタイプに近いですか?
No.053
はさみを作る
種子島に伝わる伝統工芸
7月11日 金曜日
遠藤です、みなさんこんにちは。
私たちの種子島の旅も今日が最終日です。旅の最後にすることといえばやっぱり、おみやげ、ですよね。ドライブしているとこんな看板を見つけました。

種子島に鉄砲が伝来したとき、ポルトガルの鉄砲を見てすぐにオリジナルと同じ性能のコピーを作ることができたのは6月1日の回でお話したように海岸に砂鉄が多く、材料に不便しなかったということと、その豊富な資源で鍛冶が盛んだった、すなわち、技術と材料がすでにあったことが大きな原因だったと思います。
また、その時の領主種子島時尭(たねがしまときたか)が大金を出して購入した2丁のうちの1丁鍛冶屋に分解・研究させ、同じものを作るように命じたそうです。
技術、材料だけではなく、領主の判断も鉄砲技術の日本への迅速な導入に役に立ったようですね。
このとき種子島時尭(たねがしまときたか)は16歳だったそうです。
さて、この鉄工所を訪ねてみると、ちょうどはさみを作っているところで、見学をさせてもらうことができました。


はさみはまず、このような櫛の形をした材料から作ります。

この先の行程は少し複雑なのでイラストを使って説明します。
これらのイラストは、イラストレーターあじこさんにお願いいたしました。

先ほどの櫛形に加工されたはさみの元になる材料にはがねをくっつけます。赤く熱した材料の上にホウ酸と鉄粉の混ざった物を「ノリ」としてつかいます。

このように、金槌で熱い内にたたいて、一体化させます。

十分馴染んだところで赤い矢印の所を曲げて、持ち手を作ります。

もう、ずいぶんはさみの形になってきましたね。では、ここで問題。黄色の矢印と、緑の矢印、どっちの方に「はがね」が入っているでしょうか?はがねのある方が、切れる方ですよ。
正解は「緑」の方です。これは実際見ていても、「あれ、黄色い方が切れる方では・・・」と思ってしまいますが、はさみは刀の部分(ブレード)がクロスしますので、はがねが逆(内側)についているのです。

特に、定規など、計る物は一切使っていないにもかかわらずこんな風にぴったりの大きさのはさみの原型ができました。
ここまでの作業はたったの5分。素早い仕事ぶりに感激しました。
このあと、クロスする部分を留めて、きれいに磨きをかけるとできあがりです。

おみやげのはさみを手に、私は種子島からの帰路に就いたのでした。
ずいぶん長い旅になってしまいましたが、みなさん、いかがでしたでしょうか?夏本番を前に、みなさん、夏の予定を考えていることともいます。みなさんの旅の報告も是非私に聞かせてくださいね。楽しみにしています。
No.052
つるが巻き付く秘密
そっとなぜてみよう
7月1日 火曜日
遠藤です。みなさんこんにちは。
はやいもので、もう7月。1年の半分が終わったことになりますね。
今年の前半みなさんにはどんな楽しいことがありましたか?
私の家で楽しいことと言えば、庭にナスやトマトやキュウリなどを植えて育てています。
自家製の野菜はおいしいですよ。

キュウリは雄花と雌花があって、この写真はキュウリの雌花。花の時期からもう小さなキュウリが見えますね。
キュウリはツル植物といわれる仲間で自分の身体をほかの植物にからみつくことで支えています。

巻き付いたツルはみなさん見たことがあると思いますが、どんな風に巻き付くかを見たことがある人は少ないと思います。
見てみたいと思いませんか?
え?「ツルの前で1日中じっとしている時間はない」ですって?
大丈夫。5分あれば見られますよ。
まず、長く伸びたツルを見つけて、ツルをなぜてください。
このとき、あちこちをなぜるのではなくて、決まった場所を指1本でなぜてください。
そうですね、20回もなぜれば十分です。

こんな感じで、指を左右に20往復させてください。

2分後。もう、巻いてきました。
実は、このときは50往復なぜてしまったので、巻き方が早すぎて途中の写真を撮っている時間がありませんでした。

指をはずしてみました。きれいに巻けていますね。
この観察からわかることはツルは刺激を感じて感じた方に曲がるということのようです。
実際、自然状態でツルを巻き付けるときのことを考えても、そうなっていた方が好都合ですよね。

次の日、朝起きて、庭を見てみると、前日巻いたはずのつるが元に戻っていました。
前日自分をからませることができると思った「支柱」が実は偽物だったことに気がついて、また元に戻ったようです。このように、ツルの巻きは元に戻ることもできるようですね。
ツル植物なら、どんな種類でもこのようなことになるのかは私にはわかりません。
・どんなツル植物でもなぜると巻くのか?
・植物の種類によって必要ななぜる数に変化があるか?
#私の実験では20回でもきれいに巻きはじめるキュウリや、50回なぜてやっと巻きはじめるハヤトウリなど、種によって巻きはじめる回数は違うようです。
・巻いたツルは支柱を失うと皆、元に戻るのか?
こんな観点でいろいろなツル植物を実験してみると、1つの研究としておもしろいのではないかと思います。
みなさんのお子さまの今年の自由研究のテーマにどうですか?
結果がまとまったら、私にもその研究を見せてくださいね。
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