
大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
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| No.060 スペースフレンド2003 葉っぱのレプリカ図鑑を作ろう 9月20日 土曜日 遠藤です。みなさんこんにちは。 先月、8月22日から8月24日に財団法人宇宙少年団*1)の主催するスペースフレンド2003 *2)というイベントに講師として参加しました。 ![]() 去年に引き続いて私は2回目の参加となりました。去年の様子は2002年10月1日号のモバイルガーデンで紹介しています*3)のでご覧になってください。 去年はポータブルの風洞を開発して、みんなでカエデなどの羽のある果実を風洞の中で回して植物の「種子散布」についての観察を行いました。 今年は、葉の葉脈に注目して葉のかたちと葉脈との関係を「葉脈レプリカ標本」をつくりながら考えてゆくことにしました。 みなさんは植物の葉にいろいろな「かたち」があることはご存じだと思います。葉の縁がつるっとまるかったり、ギザギザがあったり、手のひらみたいになっていたりしますよね。 では、葉脈の種類はどうですか?みなさんは、中学校1年生ででイネやタケなど、平行脈を持つ植物とホウセンカやヒマワリなどの平行脈を持たない植物があることを習っていると思います。覚えていらっしゃいますか? では、葉脈の種類は平行脈かどうか、それだけなのでしょうか? そんなことを考えるために、葉のかたちと葉脈がよくわかるように葉の「魚拓」を作ることを考えました。 葉にインクを塗ってそれを紙に転写すれば葉のかたちと葉脈の様子だけが紙に写し取られてそれ以外の葉の色や葉の毛の有無などの不必要な情報を省くことができます。 植物に限らず観察するときには何を見るのかという「観点」が必要です。 まだ小さな生徒さん達が対象でしたので「観点」を持って観察してもらうためには不必要な情報をこちらでマスキングして注目すべき情報を目立たせて渡してあげることが必要です。 今回は葉のかたちと葉脈という情報以外をマスキングする方法として「魚拓」という方法を使ってみました。 できあがりも思ったよりもきれいにできるんですよ。 会場は東京都渋谷区にある国立オリンピック記念青少年総合センター*4)という都会のまっただ中にある施設なのですが、事前調査をしたところ幸いにも街路樹やセンターと外の境界にはいろいろな樹種の木が生えており20種程度の葉を採集することができることがわかりました。 さて、おそろいのTシャツを着た生徒達と一緒に葉のレプリカ図鑑を作ってみましょう。 ![]() (みんな、何種類採集できるかな?) 葉脈は草にも樹木にもあるのですが、今回はよりきれいな葉脈レプリカ標本を作るために葉の比較的厚くて、しっかりした樹木に絞って観察することにしました。 みんなで一人1枚づつ採集したあと、教室に戻ってきていよいよ「葉脈標本」づくりです 作り方は まず、葉の裏側に版画用のインクをローラーで付けます。 ![]() つぎに、白い紙の上にインクの付いた葉を載せて ![]() 今度は、インクの付いていない、きれいなローラーで「ぎゅっ」と1回だけローラーをかけます。 ![]() そのあと、そーっと、紙を開いてみると・・・ ![]() こんな風に、きれいに葉脈が写し取られます。 ほかの生徒さん達の作品例を見てみましょう。 ![]() ![]() 最初はみんなインクを付けすぎたり、力を入れすぎたりして良い物ができないのですが、何回か試すうちに、みんなすてきな作品が出来上がりました。 ![]() ![]() 出来上がった標本はおみやげに持って帰ってもらったのですが、中にはこんな風に「木の葉図鑑」を作った子もいました。 ![]() 改めて葉脈を見てみると葉のかたちと密接な関係があり、それぞれに物語があるのですが、今回はそこまで深入りはせずに葉ならみんな葉脈は同じなのではなく、種によって葉脈の「模様」が異なる。という点をわかってもらうところまでにしました。科学が好きな生徒ばかりですので、興味のある子なら、あとは自分でできるでしょう。 モバイルガーデンをご覧のみなさんには次回、特別コースとしてこの授業の先、つまり、葉のかたちと葉脈の関係について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。 ******** さて、9月1日号でお知らせした「星砂観察キット」のプレゼントへたくさんの方の応募をいただきありがとうございました。 抽選の結果 るんさま 今野さま 平野さま 福士さま 山田さま 以上の5名様に星砂キットが当選しましたので、お知らせいたします。 当選者のみなさんには後ほどメールをお送りいたしますのでよろしくお願いいたします。 *1) http://www.yac-j.or.jp/ *2) http://www.yac-j.or.jp/activ/schedule/2003/spacefriends/index.html *3) http://www.macmem.com/endo/mb200210.html#022 *4) http://www.nyc.go.jp/ No.059 太陽とつきあう方法 クズの生き方を観察してみよう 9月10日 水曜日 遠藤です。みなさんこんにちは。 みなさんはクズという植物をご存じですか? 秋の七草の1つで(ほかの6種はおわかりですか?)風邪を引いたときなどに食べる「葛湯」や、漢方薬の「葛根湯」などの原料となる植物です。 ![]() 名前はご存じなくても上の写真をご覧になれば、多分一度くらいは見たことがあるのではないでしょうか。 クズはツルになるマメ科の植物です。 ![]() 花を見ると、インゲン豆や、エンドウ豆と同じかたちをしていて「あ、マメの仲間」とおわかりになる方も多いと思います。 夜になると葉を閉じるのも、マメ科に属するネムノキなどと同じで ![]() クズは夜になるとこのように葉をたたんで寝てしまいます。 クズの葉は夜、葉をたたんで寝て、朝、また上の写真のように起きるということが知られています。 私もそれだけだと思っていたのですが、あるとても暑い日にクズを観察してみると ![]() クズは葉が「ばんざい」の格好をしていました。写真を見て、おわかりになるでしょうか?葉が上向きになっていますね。葉が上向きに「ばんざい」の格好になると、光が葉に十分に当たりません。植物は光に当たるために葉があるのに、どうしてわざわざ光に当たる面積を少なくしているのでしょうか? 植物は、光を求めていろいろな工夫をしていることはみなさんご存じだとおもいます。植物が生きてゆくのに必要な主な条件は 光・水・二酸化炭素 が十分にあることが重要です。 この中で、一般的に最も不足しているのは二酸化炭素です。現在の空気中の二酸化炭素濃度は0.03%ほどですが、植物の最適な二酸化炭素濃度は現在の大気の10倍程度高い、0.3%位だといわれています。 この植物にとって「最適な濃度」は植物が大繁茂した地球の太古の大気の組成と同じで、その濃度に植物たちが適応したなごりであると考えられています。 ですから、野菜や、果物の温室栽培でボイラーを炊くのは保温のためというよりはむしろ二酸化炭素濃度を上げるためなのです。 では、光に十分にあたると植物は喜んでいるかというと、植物は一方で水分の蒸発の危機に直面しているのです。 例えばベンケイソウといわれる植物のグループは昼間は葉の裏にある気体の出入り口である気孔を閉じて光合成を行い、強い日差しによって水分の流出を防ぎます。そして夜、気孔を開けて明日の分の二酸化炭素を取り込んでおく工夫をしています。 このように、光が十分ある状況では水分の流出を防ぐ工夫が必要です。 クズは十分な光のが当たる状態にあるので、水分の流出を防ぐために「ばんざい」をしていたのではないでしょうか?これが私の推論です。 光合成の原料の二酸化炭素が薄い状況では光が必要以上にあっても光合成が進むわけではなく、クズにとっては水分の流失危険の方が大きいのだと思います。 クズは町中でもちょっとした空き地などに生えています。通勤、通学の行きと帰りに10秒づつでも観察する時間があれば、クズの葉の太陽とつきあう方法を間近に観察することができると思います。みなさんもクズの葉を観察して、どうして「バンザイ」するのかを考えてみてください。 ちょうど今の時期はクズの花が盛りです。クズの花の香りは大変いい香りなんです。観察のついでに花の香りも楽しんでください。 No.058 夏のプレゼント あなたの部屋で星砂を探そう 9月1日 月曜日 遠藤です。みなさんこんにちは。 以前、種子島で採集してきた星砂を使って授業をしたお話*)をしました。 内容は ・星砂には種類があること ・星砂は生物であること ・海岸の砂の組成を調べるとその海岸の特徴がわかること ということでした。また、年の数だけ星砂を持っているとしあわせになれるという民話もご紹介いたしました。 このたび、星砂をご自宅でも簡単に観察できるように種子島の海岸の砂を専用の瓶に入れたものに、解説書をつけた「星砂観察キット」を作りました。 ![]() このキットは、財団法人宇宙少年団のイベント用として作ったものですが、5セットだけ余りましたので、このモバイルガーデンをご覧のみなさまにプレゼントしたいと思います。 内容は ![]() 星砂をスナップバイアルに入れたサンプルと ![]() 観察方法を易しく解説したテキストです。 必要以上に個人情報を得ないためにご希望の方はendo@mobilegarden.netあてに、 件名(subject):星砂キット希望、本文にお名前(匿名でも結構です)を書いてお送りください。 応募者が多数の場合には抽選で5名の方に当選のメールをお送りしますのでその時に送付先住所等をお教えください。その後、観察キットをお送りいたします。 なお締め切りは9月19日までといたします。 結果は9月20日号の本欄で発表したいと思います。 Ref.URL *) http://www.macmem.com/endo/mb200306.html#050 http://www.macmem.com/endo/mb200306.html#051 |
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