大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
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No.067
果実の進化
葉から果実へ:サクランボの場合
11月22日 土曜日

遠藤です。みなさんこんにちは。

今年は秋と冬の境目がよくわからないうちに、季節が行ったり来たりしているようですね。私の自宅から見える山並みもいつもなら赤や黄色に紅葉するはずですが、今年はまだ、青々としています。

しかし、八百屋さんの店先は「美味しい物の季節」とばかりに、たくさんの果物がならんでいます。ちょっと旬はすぎてしまいましたが、今日は花がどうやって果実になるのかを見てみたいと思います。

このコラムでも以前、「No.56 くだもの・かじつ・たね・しゅし」*1)で、お話ししたように、果実と言っても、八百屋さんでは果物として売られていたり、野菜だったりするのでしたよね。

果実は、種子 *2)とそれを包む心皮 *3)からなりますが、心皮は昔は葉であったと考えられています。すなわち、特殊な葉が種子を包み込んで果実になったのです。

最もシンプルな果実のパタンである種子1つと、心皮1枚のサクランボを例にとって説明しましょう。

サクランボの果実の進化の過程をイラストにしてみました。
イラストレーションはいつものようにあじこさんにお願いいたしました。



サクランボの原始的な果実はこのように葉の両端に花 *4)が2つ付く形式だったと思われています。

花が、葉から出るというのはちょっと意外な感じがするかもしれませんが、現世の植物でも葉に花をつけるという植物を見つけることが出きれば「状況証拠」になるはずです。

そんな植物の1つに「ハナイカダ」があります。



矢印で示したところが花です、名前の由来は葉を花の「いかだ」に見立てたのでしょうね。

また、サクランボの若い時を見てみるとイラストのように心皮の両端(葉の両端)に種子が付いています。出来上がったサクランボの「天神様」は1つしかありませんが、それは、サクランボの場合、2つの種子のうち、1つが途中で発達を中止してしまうからです。

葉の両端の種子が両方ともちゃんと発達する植物もあります。例えば



これはアオギリの果実です。心皮の両端に(葉の両端)に矢印で示した種子が付いています。

アオギリの果実には種子が4つついていますが、種子の個数こそ違う物の上のイラストによく似ていますよね、これも果実の進化の「状況証拠」の1つだと考えられます。



そして、その葉がたたまれて、その時に、種子は葉の内側に入ります。そのあと、心皮が発達して


熟すと、みなさんご存じのサクランボになりました。

サクランボの果実が進化してくる過程ではこんな事が起こったのではないかと思います。


次回は種子の数を増やして「サヤインゲン」になるまでの話と、それを更に組み立てて「キウイフルーツ」ができる話をしたいと思います。



おみそ汁にサヤインゲンが出てきたり、デザートでキウイフルーツを食べるときがあったらどんな果実の仕組みか見ておいてくださいね。

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*1)
http://www.macmem.com/endo/mb200308.html#056

*2)
種子は種子となる前には胚珠と呼ばれますが、2つの用語をここでは使い分けることが難しいため、すべて種子としました。

*3)
心皮は果実になった時には「果皮」といいますが、2つの用語をここでは使い分けることが難しいためすべて心皮としました。

*4)
この場合の「花」は仮想的な器官です。

Special Thanks to あじこさん
あじこさんにはイラストの作成に協力してくださいました、私の要求に忍耐強くつきあってくださり、何回も書き直してくださいました。ありがとうございます。


No.066
XJack-Maniac
PCカードという箱庭
11月10日 月曜日

遠藤です。みなさんこんにちは。
きょうは、ちょっといつもとお話の内容を変えてPCカードについてお話ししたいと思います。私は主にノートPCを使って仕事をしています。この文章もノートPCで書いています。

ノートPCはPowerBook 550cからはじまって、 何台かを経て現在はPowerBookG3と ThinkPad X22というコンピュータを使っています。

ノートPCはデスクトップと比べて拡張性が低いのが難点ですが、拡張性を確保するものとしてPCカードスロットがあります。

このスロットにいろいろなカードを指すことによって、メモリを増やしたり、イーサネットにつなげられるようになったり、モデムを使うことができたり、画像を取り込むことができたり、音楽を取り込めるようになったりします。

カードのサイズは規格があり、その同じ規格のなかで各社がいろいろな工夫をしており、それを眺めていると、さながら箱庭のようで、楽しいものです。

みなさんもノートPCをお使いの方なら、何枚かのカードをお持ちだと思います。

私が持っているカードをちょっと出してきてみました。



特にこれといって珍しいカードがあるわけではないのですが、例えば



これは、PCカードサイズのハートディスクドライブです、今ではUSBのメモリが主流ですが1G程度の比較的大きなファイルをやりとりする時にはこれが便利です。

昔のノートPCにはイーサーネットのコネクタも、モデムのコネクタもありませんでしたから、モデムやイーサネット用のカードは必須でした。

私の持っているカードはモデムのカードが多いようです。モデムカードは本体にモデムポートの完備された現在でも重要です。なぜなら国内だけで通信をする分にはノートPCにはじめから内蔵されているモデムを使うことができますが、海外の電話線事情は比較的まちまちで、極性が逆だったり、デジタルフォンシステムが使われているホテルなどでは差し込み口に高い電流が流れていたりしてモデムを壊してしまうことがあるからです。

内蔵モデムを壊してしまうと帰国してから修理が大変ですが、モデムがカードであれば本体への障害を最小限にくい止めることができます。また、モデムの予備という意味でも重要です。

こんな風に、いろいろなカードが集まってくると、カプラー(モデムからでているコード)がなくなってしまったり、どのカプラーがどのカードだったかわからなくなってしまったりと結構管理が面倒になってきます。

そんなときに便利なのがXJackというしくみです。

説明するよりも見てもらった方が早いので、写真を見てください。
例えば、普通、モデムカードは



このように、カードの先にカプラーが着いており、その先をモジュラージャックに刺すようになっています。

したがって、このカード使うにはPCカードと、カプラーがどちらも欠くことなく必要なのです。

一方XJackのLanカードは



このように、使わないときにはジャックがカード内に格納されており、使うときには矢印の部分をプッシュすると



このように、ジャックがでてくるというしくみです。

あとは、出てきたところに電話線をつなぐと



こんな風にすぐに使うことができます。

モデムから始まったこのしくみは、モデムのほかに

Lanカード、
無線Lanカード



BlueToothカード



に使われています。

私はこのXjackシステムを初めて見たとき、大変感動して使ってみたいと思っていたのですが、ほかのカードに比べて価格が高く(時には2倍から3倍するときもありました)なかなか手がでませんでした。最近、アウトレットショップなどで昔のカードが安く売られているときがあり、そんなときにすこしづつ集めるようになりました。

このジャックは見た目には華奢なように見えるかもしれませんが、ケーブルを持ってノートPCをつり下げても落ちないくらい丈夫にできています。

このしくみは最初Megaheltzという会社が開発して、それが、US Roboticsという会社を経て今は3Comが技術を持っています。

みなさんは、どんなカードをお持ちでしょうか?


No.065
ポストとクローバー
一枚の写真から
11月2日 日曜日

遠藤です。みなさんこんにちは。

東京のJRの駅に国立駅という駅があります。
中央線の小さな駅です。

南口を降りると、目の前に小さな赤いポストがみえてきます。

なんの変哲もない、普通のポストですから、いつも私はちょっと目配せをして他の人同じようにその横を通り過ぎて、目的地へ急ぎます。

ちょうどその日は、時間が少しあって、いつもよりも気持ちに余裕があったせいか、みちすがら、いろいろなものをゆっくりと見て行くことができました。

その日も、ポストはちゃんと、南口に立っていました。



最近、再開発があったため、ポストも新しくなって、きれいです。

ポストの横を通り過ぎようとして、いつもは気が付かなかったのですが、ポストの足元に何気なく目をやると、クローバーが生えているのに気が付きました。



「あ!、不思議だなー」と私は思いました。みなさんはどうですか?
どこか変わったところ、不思議なところを発見できましたか?

クローバーが生えているところを見たことがある人はわかると思いますが、普通クローバーはまるくまとまって生えるものです。

レンガの真ん中は植物が生えるのは無理としても、ポストの足下のクローバーはポストに沿って「コ」の字に生えていて形がいびつですよね。

何ででしょうね?不思議だなと思いました。
私が不思議に思った点は2つあります。

1つの疑問は「クローバーはなぜもっとポストの足下に勢力を伸ばすことができないのか?」という点。

もう1つの疑問は逆に、「クローバーはなぜもっとポストの外側へ勢力を伸ばすことができないのか?」という点。

私はこの2点が不思議だなと思いました。

本当のことは、クローバーに聞いてみないとわからないのですが、私はポストの足下のクローバーにはこんな物語があるのではないかと想像しました。

植物の生育に重要な2つのこと。それは、光と水です。

最初、ポストが傘代わりになってしまって水が不足しているため、ポストの足下へとクローバーが育っていかないのかと思いました。しかし、雨の日に観察してみると、ちゃんとポストの足下までしっかりとぬれていました。特段、ポストの足下とそうでないところでは水分の量に違いはなさそうでした。

そこで、もう1つの条件、光の問題だと考えてみました。あまりポストの足下に勢力を伸ばすとポストの陰になって十分日光が浴びられなくなり、生きてゆけないのではないでしょうか?

次に、今度は外側の話。光も十分あって、水の条件は同じ。そうした条件の下でどうしてポストの足下から外へ外へとクローバーは育って行かないのでしょうか?それは、ここが歩道であることに関係がありそうです。

もうみなさんはおわかりになりましたか?

きっと、クローバーがこれ以上ポストから離れると、人に踏まれて枯れてしまうからではないでしょうか?

みなさん、どうでしょう。

このクローバーにとってポストは自分の繁栄をじゃまする陰でもあり、自分を雑踏から守る守護者でもあるのです。

そして、上の写真のような「コ」の字の範囲。これ以上でも、これ以下でもないぎりぎりの範囲を一生懸命生きているのではないでしょうか?


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