大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
不定期に更新します。

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No.077
冬の果実
いつまでも残っている果実の行方
3月18日 木曜日

遠藤です、みなさんこんにちは。
毎日通う駅から家までの道でとてもきれいな風景があったので写真を撮ってみました。



実はこの場所で後ろを振り返るとトランスメタ社の新しい中央演算装置を作っている富士通の工場が見えます。

写真を撮った後で家に帰ってコートをハンガーに掛けた時、コートにたくさんのタネがついているのを見つけました。

こんなタネ、あったかな・・・

次の日、わたしに、タネをくっつけた植物がどんな植物だったかのかを探してみることにしました。

昨日、写真を撮ったところで、足下を探すと、ありました、このタネがコートについてしまったようです。



拡大すると



このようにタネには一度刺さったら簡単に抜け落ちないように赤い矢印で示したような「返し」がついています。

この植物の子孫の増やし方はどうやら、動物の体などにくっつけて、動物の移動にあわせて自分の子孫を増やしてもらうという作戦のようですね。

図鑑を調べるとこの植物は「センダングサ」という植物で、センダングサの花は9月頃に花を咲かせることがわかりました。

そして、タネタネと言ってきましたが、この1つ1つの「タネ」は種子ではなくて果実で、センダングサの果実は10月頃にはできているようです。

私のコートにくっついたのは3月ですから、年をまたいで約半年近くこの果実は枯れてしまった親の体にとどまっていたことになります。

動物にくっついて運んでもらうためには「返し」の部分を外にしておかなければいけませんし、落ちてしまったら、動物にくっついて運んでもらうことはできません。

センダングサの工夫は「返し」を作るだけではなくて、親の体も地面からの距離を確保するためにできるだけ枯れても倒れないような頑丈なものなっています。

私にくっついたセンダングサの果実は、庭に蒔いておきました。もう少ししたら芽が出てくるかもしれません。

動物にくっついて子孫を広げる植物はこれだけではありません。皆さんの周りにもいろいろな種類があると思います。食べてもらって子孫を遠くに運んでもらうタイプの植物が減る冬は特にこうした植物が目立つ時期ですのでジーンズなどにくっついた果実を見つけたときには名前はわからなくても、どんな仕組みでくっついているのかを観察してみると楽しいと思います。


No.076
君は「あがったうだつ」を見たことがあるか?
屋根のいろいろと、雪国の知恵
3月2日 火曜日

遠藤です、みなさんこんにちは。

いつまでたっても出世しない、もうひとつぱっとしない人をよく、「あいつはうだつのあがらない奴」なんていいますよね。

特に意識しないで使っていますが、ある時、私は本物の「あがったうだつ」を見てしまいました。すごい成功した人にお会いしたというわけではありません。

みなさん、「うだつ」ってどんなものだと思いますか?



これが「うだつ」です、といってもわからないかもしれませんね。次の写真は別な「うだつ」ですが、もう少し拡大してみました。



この写真の矢印の部分が「うだつ」です、辞書を引いてみると、「小屋根付きの袖壁。長屋建ての戸ごとの境に設けたもので、装飾と防火を兼ねる。」とかかれており、隣が火事になっても自分の倉が延焼しないようにという防火のために、大きな街道沿いのお店などには装飾のために立派な「うだつ」が「揚げ」られており、そのようなことができる人は成功した人、ということで、「うだつのあがらないやつ」はその反対ということですね。

昔も「うだつを揚げる」のは難しかったと思いますが、現代の住宅事情ではうだつどころか、家を建てるのも難しくなってきていますね。

同じ屋根と言うことでもう一つおもしろい屋根を見つけました。新潟に旅行に行ったときに町を歩いていたら

こんな看板を見つけました。



通りの反対側からみてみると



写真の左側に看板が出ていますね。今度は、「雁(ガン)」です。雁はご存じのように鳥ですよね。さあ、この写真で雁木ってなんのことなんでしょうか?

この地方にお住まいの方に聞いてみたところ、以前はここは豪雪地帯で屋根の雪を道に下ろすと道が埋まってしまって2階から出入りすることになったのだそうです。

そうすると道沿いにある商店街は完全に埋まってしまって商売ができなくなってしまいます。そこで、商店街の各お店が自分の軒先の分だけひさしを作り左右のお店とつなげました。そうすると道は雪で2階の部分まで来てしまっていてもお店は自分のひさしの下だけそれぞれ雪かきをすれば積もった雪の中でトンネルのようになり、商売ができたのだそうです。



雁木の内部はこんな風になっていて、自然発生的なアーケードのようですね。

なぜ、雁なのかというと、それぞれが作ったひさしが連なった様子を雁が羽を広げたところに見立てたのだそうです。

長野でスキーをしたときに泊まった民宿のご主人に頼まれて1日スキーを休んで雪かきを手伝ったことがありますが、それは重労働で、東京ではあまりニュースになりませんが毎年事故で亡くなる方も多い作業なのです。

新潟の人たちは豪雪に押しつぶされそうになりながら雪空でも優雅に舞う雁にあこがれを持っていたのかもしれませんね。


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