大学博物館で植物の研究をしている、遠藤さんのコラムです。
不定期に更新します。

バックナンバーはこちらからどうぞ!

マックメモリー専門店マックメムへ戻るのはこちらからどうぞ!


No.096
一枚の写真から
ショッピングセンターの駐車場で見つけた木の葉たち
12月31日 金曜日

遠藤です。皆さんこんにちは

2004年の年の瀬をいかがお過ごしでしょうか?
年末年始の買い物のために、車で郊外のショッピングセンターに出かけてみました。

午前中は片づけ物をしていたので、午後になって出かけたら、帰る頃にはあたりは真っ暗になっていました。

駐車場で自分の車を見つけていると、一本の木が立っているのに気がつきました。



この木は「エノキ」という木で本来は冬にはすべて葉が落ちているはずです。

ではなぜ、1本だけ、葉がついたままなのでしょうか?
不思議に思って、近づいてみました。



もう皆さんはわかりましたか?エノキが葉を落とさなかった原因はこの街灯だったのです。

葉を落とす原因として私たちは気温の低下というのをすぐに思い出しますが、植物では光の当たる時間の長短という条件も大変重要です。

例えば、キクの栽培では秋になり日が短くなってくると花が咲くというような仕組みが備わっています。そこで、出荷の時期を遅らせるために菊を育てている畑に電気を灯して明るくし、花をつける時期を遅らせるという方法が昭和12年愛知県豊橋市で開発され、今では全国で行われています。

街灯のある街路樹などを見ていると街灯のある側だけ葉の色が違ったりしていることもよくあります。

皆さんも、観察してみて下さい。


No.095
飛ぶタネの不思議
実物でないとわからないこと、モデルでないとわからないこと
12月19日 日曜日

遠藤です、みなさんこんにちは

以前コラムで風洞実験をした話を少ししました。*1)
まだご覧になっていない方はそちらを見ていただいて、その続きの話をしたいと思います。

飛ぶタネ*2)でもっとも身近なのはタンポポの綿毛ではないでしょうか。

風に乗って飛んでゆくタンポポのタネはちょっとロマンチックでさえありますよね。

では、なぜタネは飛ばないといけないのでしょうか?一般的には子孫をより遠くにとばして、子孫を増やすためだと考えられています。

飛ぶといっても自分でエンジンを積んで積極的に飛んでゆくわけではないので「地面にゆっくり落ちるための工夫」であると言い換えることができます。

ゆっくり落ちることができれば、その間に風を待って、風に乗って遠くに行くことができるのです。

実物のタネを見ながらそれぞれのタネの工夫を考えてみましょう。



これは、ツクバネという植物のタネです。何でこんな形のタネができるのかとびっくりしてしまうほどの造形のすばらしさを感じます。

実際の木は植物園などで観察することができますが、ツクバネのそばには必ずスギやヒノキが生えていると思います。

この写真ではわかりませんが、このツクバネの右側にはスギの木が生えているのですが、なぜかというと実はこのツクバネという木はスギやヒノキの根に寄生している寄生植物なのです。

次は目を海外に向けて家具やベニヤ板などに使われるラワンの種を見てください。



大きさがわかりにくいと思いますが長さは20cmほどの大きさのあるたいへん大きな種です。

熱帯に生えるラワンの木は高さが20mにもなる大きな木です。

このような種は投げただけでは高さが足りないため十分に回っているところを観察することができません。

そんなときに風洞が役にたつのです。

ラワンの種を風洞で回してみましたので見てみてください。



この風洞では小さくて窮屈そうですが何とか回っています。

ではこのラワンの種に注目してラワンの回る仕組みを考えてみましょう。

ラワンの種を構成するパーツをもっともシンプルに考えてみると種本体と2枚のはね、この3つに分けられます。まずは単純にこの3つのパーツのモデルを作って回るラワンの種のモデルができるかどうかを考えてみました。

このように単純化するとどういう理由で回らないのか、またどのような工夫をすると回るのか考えやすいですよね。

まず最初におもりと羽をシンプルにつけただけのモデルを作ってみましたが、うまく回りませんでした。

つぎに、本物のラワンの種を参考にしながらそのモデルの「羽」に湾曲をつけてみました。

今度は回ったのですが、本物のようにはきれいに回りません。

ちょっと困ってしまって、本物のラワンの種をよくよく観察してみると矢印のように2枚の羽が微妙にずれていることがわかりました。



そこで、次の写真のように少しずらして羽をつけると



このように本物のように回転することがわかりました。

回っているようすを動画で撮影してみましたので、見てみて下さい。



シンプルなモデルと実物を交互に観察することによってラワンの種が飛ぶ秘密は次の2点に集約されることがわかりました。

(1)2枚の羽が湾曲していること。
(2)2枚の羽が少しずれていること。

特に2は気がつきにくいですが、モデルを作ったことでこのラワンの秘密も解き明かすことができました。よく自然を理解するには実物を観察する必要があると言われます。もちろん直接体験の少ない子供たちには実物の観察は欠かすことができません。

しかし、実物をみた上でモデルをつくって実物と比較してみることもまた必要です。
実物の観察とモデルを作って考えること、この2つは車の両輪のようなもので、深い理解のために欠かすことができないものなのです。

みなさんが自宅でこのモデルを作るときにはいらない葉書と、クリップを以下のようにすることでモデルを作ることができます。



みなさんも、はがきで作って飛ばして遊んでみてください。


*1)
No.022 「スペースフレンド2002 空を飛ぶたね」の回を参照

*2)
今回は実際は果実であっても「タネ」と記載しています。果実と種子(種)の違いはバックナンバー、例えば
No.056 「くだもの・かじつ・たね・しゅし 自分の認識を明らかにする方法」をご覧下さい。


macmem.com
運営:(有)青い空 店長:猪川紀夫
info@macmem.com
日本オフィス:〒222-0037 神奈川県横浜市港北区大倉山3-5-11-A
電話/FAX:045-543-0998


■当社はオンラインストアーであり、販売形態は通信販売のみです。
■電話でのお問い合わせは受け付けておりません。メールでのみ対応させて頂きます。
■商品の価格・仕様・発売時期等は、予告なしに変更される場合があります。
■このウエブサイトに掲載されている内容を無断に転載することを禁止します。
■このウエブサイトのリンクは自由ですが、事前にご連絡ください。