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2004.11.09(火)
第69回 ディズニー映画のセオリー

こんにちは、kyokuchoです。

少し古めのディズニー映画というと、どんなイメージを持っているでしょうか。まず何よりも先に思い浮かぶのは完璧なまでの「勧善懲悪」なのではないかと思います。正義は勝ち、悪は滅びる。最近の映画には無いストレートさはいま見ると新鮮さすら覚えます。

たとえば、クラシックな長編作品の代表的なものを見ていきますと、白雪姫ではオープニングにて、ものの数分で白雪姫、王子様、そして女王の立場が歌を用いて説明されます。最後には魔女は崖から落ち、小沢健二が言うところの「ディズニー映画のエンディングみたいな」甘いコンチェルトで幕が下ります。ディズニーの世界では、必ず悪は愛に負ける、それは定番のストーリーとなっているわけです。

ディズニーランドは、このような初期のディズニー映画のエッセンスを色濃く伝えられている場所となります。特に、東京ディズニーランドで行われるショーはこのセオリーを実に巧みに取り入れています。たとえば、夜に行われていたファンティリュージョンというパレードがありました。このパレードは3つのシーンに分かれているのですが、後半の二つが非常に印象的な配置になっていました。2つ目のシーンのメインはズバリ「悪役たち」。普段は日陰の彼らが実に生き生きと表現されていてお気に入りのパレードでした(特に、夜のパレードだけに「闇」の表現が実に幻想的でした)。そしてそのあとのシーンはプリンス&プリンセス。最初は気づかなかったのですが、ディズニーでは悪はプリンス&プリンセスに滅ぼされ、パレードですらハッピー・エンディングを明に暗に表現しているのです。そのほかのショーも「悪」の要素が取り入れられているものは、たいていその後にプリンセスなどが登場するようになっています。

もちろん、このようなディズニー流の話の流れ、言い方を変えれば「どんなストーリーでもなりふり構わずハッピーエンディングに」という方法に異議を唱える方も多いと思います(だからこそ、それに真っ向から対抗する映画「シュレック」等がヒットしたわけで)。当のディズニー社もそのようなことを思ったのかどうかはわかりませんが、近年の作品ではストレートにハッピーなエンディングとは言えないものもいくつも出てきています。

たとえば、「リトル・マーメイド」。この映画の原作は言わずとしれた人魚姫で、原作のエンディングは主人公が海の泡となり消えてしまうというもの。しかしディズニーのリトル・マーメイドは最終的に超法規的措置で人間になり、王子と幸せに暮らす、というものでした。これのどこがストレートなハッピーエンドではない?と言われると、実はここからは単なる想像なのですが、そのあとにスタッフロールで流れるのは「アンダー・ザ・シー」。カニの宮廷音楽家セバスチャンの歌う、「海の底の暮らしは最高さ!」というカリプソナンバー。まるで、それまでのエンディングを否定するかのような選曲ではないですか。それに、一人のプリンセスが人間界に嫁いだものの、海の世界と陸の世界の溝は埋まっていない・・・そんな考え方も出来るはず。

そして、「ポカホンタス」。これは史実を元に作られた、ディズニーとしては珍しい長編アニメーションですが、最後にジョン・スミスとポカホンタスはそれぞれの地で暮らすことを選択します。そして「ノートルダムの鐘」。この主人公カジモドは、ヒロインであるエスメラルダを愛するのですが、結果的には身を引くことを選びます。

総じて、ここ10年ほどの作品を見ると、ストレートないわゆる「ディズニーっぽいエンディング」というのが少なくなってきている印象があります。どの作品も悪役が存在しているのですが、誰もが納得する絶対的な「悪」ではなく、彼らには彼らなりの悩みが、そして悪である理由が見受けられ、見ている私たちに共感を投げかけているような気がします。これはおそらく、見る側に取ってディズニーのセオリーがそのままでは通用しなくなったことの現れなんじゃないかと思っています。

しかし、私はこのセオリーはずっとずっと守っていって欲しいものである、と考えています。というのも、ディズニー映画は最近小難しくなってきてしまったと感じているからです。昔のように勧善懲悪、有無を言わせぬハッピーエンドこそ、いまの暗い世の中に必要なものなんだと思うわけです。小難しい映画は同じディズニー系列のミラマックスとかブエナビスタとか、それにドリームワークスに全部任せちゃいましょう。ディズニーにはディズニーの役割があるはずです。

ここ10年で私が気に入った映画は「ムーラン」や「リロ&スティッチ」、そして日本公開が微妙な「Home on the Range」。どれも共通して言えることは、エンディングで思わず拍手してしまうようなハッピーエンド。まさにディズニーの王道でした。泣かせる映画もいりません。心からハッピーになる良質なエンターテイメントをどんどん作っていって欲しいものです。

では!
(kyokucho/宮田 健)


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