
GMしらいしが、CD棚からiTunes棚に移した音楽のコラムです。
極私的な内容で、不定期に更新します。
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イアン・マクドナルドはスティーブ・ウォズニアック? マックメムGMのしらいしです. 極私的な内容で書いてきたこのコーナーもいつのまにか20回目です.10回目にビートルズのアビー・ロードを取り上げましたが,今回はアビー・ロードをチャートの1位から引きずり下ろし,かつ私のプログレの原点となったこのアルバムについて書いてみます. クリムゾン・キングの宮殿は,1969年に発表されたキング・クリムゾンのデビューアルバムです.このジャケットのインパクトはあまりにも強烈で,プログレを超えてロックの名盤として必ず登場する作品でです.(小林克也のベスト・ヒット・USAのジャケットがズラーと流れていくオープニングでも必ず見つける事が出来るほど目立ちます(^_^)) この絵を描いたのは,バリー・ゴッドバーというイラストレーターで裏ジャケには耳までちゃんと描かれています.キング・クリムゾンの2枚目のアルバムも彼が担当する予定でしたが,残念ながらその後急逝してしまいました. リーダーであるギターのロバート・フリップが,その後現在に至るまでキング・クリムゾンというバンドそのものであり,他のメンバーは総入れ替えする事数回,細かなメンバーチェンジは,家系図的に付けておかないと分からなくなるほどの数です.おそらくこのバンドに在籍した事のあるミュージシャンというのは20人をくだらないのではないかと思います. ただ,このアルバムに関して言えばマルチプレイヤーのイアン・マクドナルドのアルバムといっていいほど彼の演奏が全面的にフィーチャーされており,その独特な音宇宙はイアンの世界です.(彼はキーボード,フルート,サックス,ビブラホン その他諸々を何でもプレイしています)このアルバムのあとキング・クリムゾンを脱退した彼はフォリナーを結成して大ヒット曲を連発しています. バンドの精神的支柱であるロバート(ボブ)・フリップと音楽的な支柱としてこのアルバムで才能を発揮したイアンの関係は,アップルのジョブスとウォズニアックの二人のスティーブの関係に似ているかもしれません.そういう意味でこのアルバムは,Apple ][と同じようなエポック・メイキングな作品という事になるのでしょう. もう少し細かく見ますと,イアン・マクドナルドの繊細なシンフォニックな音づくりとリーダーであるロバート・フリップの男性的な力強いギターサウンドがバランス良く調和しているとも言えます.オープニングを飾る「21世紀の精神異常者」(昨今は21世紀のスキッツオイドマンと邦題が改名されたようです.理由は察してしかるべし)の破壊的とも言える重厚なギターサウンドからスタートし(その後のヘビメタの先駆けとなったとも言われます)緊張感をいきなり最高レベルに持っていかされたかと思うと,2曲目の優しいフルートの音色で始まる「風に語りて」の牧歌的なサウンドが続き,3曲目で再び緊張感とドラマティックな展開の「エピタフ」で再びピークとなります.これでA面終了. B面ではイリュージョンの世界のような「ムーン・チャイルド」が続き,その後のキング・クリムゾンのお家芸ともなる即興演奏の世界が展開,そして最後を飾るのがテーマ曲「クリムゾン・キングの宮殿」です.終曲はとにかく美しくドラマティック.メロトロンというプログレには欠かせない楽器がありますが,このアルバムでその凄さを遺憾無く発揮しています.またドラマーのマイケル・ジャイルスのラストのフィルイン(オカズ)による連打は多くのドラマーにコピーを挑戦させた名演奏でもあります. (ちなみにアルバムタイトルは,In the Court of the Crimson King で,タイトル曲は The Court of the Crimson Kingです) 一気に聞き込め,またまったく無駄の無いこの演奏は,実は2度目のレコーディングで,わずか数日間で行われています.(最初のレコーディングは様々な理由で行われたものの,キャンセルされてしまいバンドのマネージメント会社には多額の請求書だけが残ったそうで,2度目のレコーディングでは家財を抵当に入れて行われたそうです)2度目はプロデュースやディレクションを自分たちで行った事が,また非常な危機感を持って臨んだ事も,この奇跡的なサウンドにつながったのかもしれません. 私が最初にこのアルバムを聞いたのは,ちょうど深夜のFM(クロスオーバーイレブンだったかな)でいきなり「クリムゾン・キングの宮殿」や「サテンの夜」(これはムーディーブルース)がかかった時です.今思えばメロトロン特集のようなものだったのかのしれませんが,いきなりかかったこれらのサウンドに雷に打たれたような衝撃を覚えました. 最近では,何故かしらねどトヨタ自動車のヴェロッサというクルマのCMで「21世紀の精神異常者」がかかって,食事中に思わず吹き出しそうになりました.この世代の人達が決定権を持つ立場になってきたのは分かるんですが,この曲をCMから聞く時代になるとは思いませんでした. とにもかくにも,もし万が一,いやホントにホントに聞いた事がない人は必ず聞いておいて損の無い名盤中の名盤です. |
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