GMしらいしが、CD棚からiTunes棚に移した音楽のコラムです。
極私的な内容で、不定期に更新します。


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File No.024
Aug. 21th 2003

King Crimson
Earthbound
(邦題:アースバウンド)

劣悪な音質が迫力のエフェクトとなったライブ盤

マックメムGMのしらいしです.

1972年の初頭に行われたアメリカンツアーから選曲されたキング・クリムゾン初のライブアルバムです.このアルバムはリリース当時はイギリス国内のみの発売で,日本盤はありませんでした.(イギリス国内の廉価盤レーベルからリリースされ,当時の所属であるアトランティックがこれを買わなかったためです)

長らく幻のアルバムの期間がつづき,1982〜3年ごろにアナログ盤として日本でも発売された事がありましたが,またしばらく途切れ,2002年にリマスタリングされてCDが発売されています.

"Islands"を発表直後,創設時からのメンバー,ピート・シンフィールドが脱退,メンバー間のトラブル(と言われている)を原因としてクリムゾンは1972年の最初に,2月からのアメリカンツアー終了後に解散するとの声明を発表します.同時にこのツアーのライブアルバムを発表する事もアナウンスされており,バンドそのものの方向性と商業的な意味と両方があった解散声明である事がうかがえます.

ライブバンドとしてタフさを求めたフリップにとって,思わぬ方向に進んでいくクリムゾンはもはや制御不能になってきたのでしょうか.ドラマーのイアン・ウォレスはこの解散声明後も,「アメリカンツアー後に解散が取り消される可能性もある」と語っているとおり,イアン,ボズ,メルの3人はバンドを続けたかったようです.

このアルバム非常に音質が悪いのですが,それもそのはずカセット録音なのです.もう少しなんとかならなかったものかと思うのですが,この音の悪さが逆に演奏の凄まじいばかりの迫力と,演奏の無秩序さを際だたせる結果となっています.

1曲目の「21世紀のスキッツオイドマン」の演奏は鬼気迫るばかりの演奏で,イアン・ウォレスのドラミングとフリップのギターは怒りを音に変えているかのように迫ってきます.一方,その後の曲はフリップのはめた枠から完全に飛び出して,ブルース調のアドリブを演奏開始し,フリップのギターだけがひどく不器用に立ちつくしているように聞こえます.(解説者によっては「バンドの断末魔の演奏!」と評する事もあり,言い得て妙です)

結局,イアン・ウォレスの予言は当たらずそのままこのメンバーのキング・クリムゾンは終わりを告げてしまうのです.フリップの目指したバンドの形は結果的に自分自身が制御不能となる形で終わってしまいました.流動につぐ流動の続いた第二期〜第三期です.(期については諸説あります."Lizard"〜"Islands"まで含めて第二期とする場合もあります)

その後,キング・クリムゾンは一旦沈黙の後,全く違う形で世に再び姿を現す事になります.歴史的には一瞬ですが,わずか数ヶ月の間に濃密な時間がロバート・フリップの中では流れていたようです.次回また...


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