
GMしらいしが、CD棚からiTunes棚に移した音楽のコラムです。
極私的な内容で、不定期に更新します。
バックナンバーはこちらから
男達の鎮魂歌 そして最後の輝き マックメムGMのしらいしです. 1974年9月に発売された70年代キングクリムゾンのラストアルバムです. 既にFile No.007 男達の男による男の為の真のプログレッシブ で,取り上げたアルバムですが,特集の最後として再度取り上げさせていただきます. 新メンバーにより"Lark's Tongues is Aspic" "Starless and Bible Black"と2作を発表し,膨大なライブを行ったクリムゾンから,ヴァイオリンのデヴィッド・クロスが脱退してしまいます.繊細で女性的なサウンドの役割を担わされた彼は,クリムゾンの凄まじいまでの男性的パワーと過酷なツアーの為,神経を消耗してしまいかなりの疲労の蓄積があったようです.この出来事はFile No.023で述べたピート・シンフィールドの脱退と似たところがあるように思います.アメリカはある者には力を与え,ある者からは奪い去っていくのでしょうか. 急ぎ,今後について決定が成されました.クリムゾン自身はフリップ,ブラフォード,ウェットンのトリオで活動する事,次のアルバムにはゲストミュージシャンを迎えて行う事などです.実際にその呼びかけに集まったミュージシャンは,イアン・マクドナルド,メル・コリンズ,マーク・チャリグ.ロビン・ミラーといったクリムゾンのウィンド系の重要メンバーとしてバンドを支えてきたメンバー達です.デヴィッド・クロスの脱退のマイナスからお釣りが来るほどの豪華さです. また,デビューアルバム「クリムゾンキングの宮殿」で最も重要な役割を果たしたイアン・マクドナルドはその後の大規模なワールドツアーにメンバーとして正式に参加する事も決まりました.これにはビル・ブラッフォードやジョン・ウェットンもとても喜んだようです.何しろ,イアンはあの宮殿を作り上げた男なのですから. 順風満帆に思えるキング・クリムゾン.ところが次のアルバムのレコーディングが開始されようとする前日.いきなりクリムゾンは終焉を迎えてしまいます.それは,リーダーであるロバート・フリップの天啓とも悟りともつかない自覚により「私はキング・クリムゾンから脱退しなければならない.私の中のキング・クリムゾンは死んだ」と.. その理由について,フリップはインタビューの中で彼特有の難解な言葉を使って三つの理由の説明をしていますが,正直理解を超えた内容なので深くは触れません.誤解を恐れず要約するならば,「時代や世界が変化してきてクリムゾンのようなスタイルが旧くなってきた事」「自身がバンドの一部である事は自身の訓練(Discipline)に役に立たなくなってきた事」「バンドの音楽のエネルギーが,自分のライフスタイルにもはや重要では無くなってきた事」となるでしょうか.これを更に短く言えば「もうバンドやってる場合じゃない」という事なのでしょう. この決定に,イアン・マクドナルドとのリハーサルに大いに刺激を受けていたビル・ブラッフォード,ジョン・ウェットンは大変ショックを受けたと言います.また続けられるものならバンドを続けたいと心から願っているとも語っています.ジャケット写真はおそらく解散が決定したあとでの撮影なのでしょうか.彼らの表情にセンチメンタルな気分にならずにはいられません. こうしたモチベーションが下がってしまうような状況の中,彼らはプロフェッショナルとして,かつてクリムゾンに所属したアーティストとともに最高の演奏を展開しています.それはまさに灯が消える前のキャンドルや花火のような最後の輝き.Starlessという名の終曲があまりにも感傷的な気分になってしまうのは,全てが終わる事が分かっている中,自分達自身に贈ったレクイエムとしての演奏だからなのかもしれません.ちょうど,ビートルズがアビー・ロードを録音した時に,メンバーが直感的にこれが最後だと感じて,すばらしい調和を見せた時のように.... その後,キング・クリムゾンが80年代に復活を果たすまで6年間,その歴史は一旦終止符が打たれたのです. P.S.長らく書いてきました,キング・クリムゾンのアルバムシリーズはこれで終了させていただきます.次回以降は通常通り,思いついたアルバムを極私的な印象で書いて行きたいと思います. |
macmem.com
運営:(有)青い空 店長:猪川紀夫
info@macmem.com
日本オフィス:〒222-0037 神奈川県横浜市港北区大倉山3-5-11-A
電話/FAX:045-543-0998
■当社はオンラインストアーであり、販売形態は通信販売のみです。
■電話でのお問い合わせは受け付けておりません。メールでのみ対応させて頂きます。
■商品の価格・仕様・発売時期等は、予告なしに変更される場合があります。
■このウエブサイトに掲載されている内容を無断に転載することを禁止します。
■このウエブサイトのリンクは自由ですが、事前にご連絡ください。