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マックメム特別レポートシリーズ

メモリーの故障について

〜メモリーはいつ故障するか? メモリーの寿命は?〜

 

マックメム主任の野口です.

いつも、マックメムのメモリーをご使用いただきまして、ありがとうございます。

今回は、メモリーの故障についてのお話です。メモリーは、初期不良を除き殆ど故障しませんが、それでも故障は0ではありません。メモリーの故障は、使用中に突然発生することが多く、殆どの場合メモリーの交換でMacは正常動作に回復します。そのため、マックメムではメモリーを永久保証し、在庫を確保し迅速に交換できる準備を整えております。メモリーの故障については、いろいろな研究報告があり、また各メーカーの品質管理、信頼性試験に関する情報もInternet上に公開されています。それらを以下に簡単にまとめてみました。

 
 

1.メモリーの故障率と故障率曲線

図.1 故障率曲線(バスタブカーブ)

メモリーの故障率(単位時間あたりの故障発生率)と時間(動作時間)の関係については、グラフ1のような故障率曲線で表現されます。バスタブのような曲線なので、"バスタブカーブ"と呼ばれています。故障率曲線は、故障の原因から次の3つの段階に分けられます。

  • 初期故障期間:メモリーを使用開始後、早い時期に発生する故障(初期不良)、主な原因は製造工程による潜在的な欠陥と考えられます。

  • 偶発故障期間:初期故障期間の後の通常使用期間にわたって発生する故障、主な原因は偶発的に生じる過電圧(スパイク、サージ)によるものと考えられます。

  • 摩耗故障期間:メモリーの本質的寿命、耐用寿命による故障、主な原因はメモリーが基本的に持っている摩耗や疲労に対する寿命によるものと考えられます。

故障率(縦軸)や時間(横軸)について、具体的な数値での説明は難しいですが、マックメムの経験から、実際の使用時間にもよりますが、初期故障期間は1〜3ヶ月程度と考えています。ですので、購入後3ヶ月程度の間にメモリーテストを何度か実施して問題がなければ、その後の故障は殆どありません。しかし、2年から5年程メモリーをご使用のお客様からも稀にメモリー故障のご連絡があります。これらは偶発故障期間の故障ではないかと考えています。メモリーメーカーによりますと、メモリーの耐用寿命は標準品の場合、推奨条件内での使用で少なくとも10年は持つように設計されているようです(参考情報 4 )。10年前後の故障はメモリーの耐用寿命によるものと考えられますが、最近のマシンの高速化と高熱化により摩耗や疲労が加速され、メモリーの耐用寿命が短くなっているかも知れません。

 
 

2.メモリーの故障はいつ起こるのか?

残念ながら、故障率曲線が示す通り、"全ての段階でメモリーの故障率は0ではありません"。(図2)
図2は、マックメムでの2004年4月〜2005年11月の故障数と使用時間(購入日から故障による交換日までの日数[月数])です。マックメムでは、一部お取り寄せのメモリーを除き、マック本体でメモリーテストを実施後に合格品をお届けしております。そのため初期不良は少なくなっていますが、それでも購入日から3ヶ月以内の故障数は51個と故障数全体の40%を占めています。お客様によってメモリーの種類や使用環境が異なりますので、個々のデータを比較することはできませんが、初期故障期間と考えられる3ヶ月以内の故障が多く、その後の偶発故障期間でも稀に故障が発生しています。48ヶ月(4年)経過でも故障数が極端に増えていませんので、摩耗故障期間はまだのようです。
購入日と交換日による使用時間算出では、正確なメモリーの実際の動作時間は把握できませんが、メモリーは正常に動作していても、"メモリーの故障はいつでも起こり得る"ことが、グラフ2からご理解頂けると思います。初期故障期間、偶発故障期間のメモリーの故障は、その原因が製造工程による潜在的な欠陥や偶発的に生じる過電圧などですので、突然発生します。稀に発生するメモリーの故障ですが、故障が発生すれば、お客様に多大なご迷惑をお掛けすることになります。そのため、マックメムでは、高品質のメモリーをご提供するための努力と、万一の故障に備え迅速な交換ができる準備をしています。

図2 マックメムでの故障数と使用時間(2004/4-2005/11)
 
 

3.メモリー故障のパターン

マックメムへご返送頂いたメモリー故障品を調べてみると、以下の3つの故障が多いことがわかりました。

  • メモリーが全く認識されない

  • メモリーが半分しか認識されない

  • メモリーは認識されるが、メモリーテストでエラーとなる

図3は、144ピン SDR SDRAM SO-DIMM メモリーです。黒い長方形のメモリーチップが裏表8個ずつ計16個あり、1つのメモリー(メモリーモジュール)を構成しています。”メモリーが全く認識されない””メモリーが半分しか認識されない”場合は、メモリーモジュールの電源系、制御信号系の故障の可能性が高く、”メモリーは認識されるが、メモリーテストでエラーとなる”場合は、メモリーチップ内の故障の可能性が高いと考えています。
その他にも、メモリーの接点部分の接触不良や、メモリーと他のメモリーやMac本体との相性により、Macが正常に動作しない場合があります。

図3 メモリー(144ピン SDR SDRAM SO-DIMM)
 
 

4.まとめ

・メモリーはいつでも故障する
故障率曲線で説明しましたが、メモリーはいつでも故障する可能性があります。メモリーは、初期故障期間後でも、偶発的な要因で稀に故障します。またメモリーの耐用寿命については、10年程度で設計されているようですが、最近のマシンの高速化と高熱化により、短くなっている可能性があります。

・メモリーは突然故障する
製造工程による潜在的な欠陥や偶発的に生じる過電圧などによるメモリーの故障は、突然発生します。故障が発生すれば、お客様に多大なご迷惑をお掛けすることになります。そのため、マックメムでは、高品質のメモリーをご提供するための努力と、万一の故障に備え迅速な交換ができる準備をしております。

今回は、メモリーの故障について、下記の参考情報と、マックメムでのデータからまとめてみましたが、”難しいことを易しく”まとめることができていますでしょうか。今後もメモリーについては、微細加工、高集積化が進み、DDR2(第2世代のDDR-SDRAM)など高速化も進むため、その品質、信頼性はますます重要になります。もちろん、各メモリーメーカーの品質管理や信頼性試験も更に強化されると思いますが、お客様に一番近いマックメムからも、メモリー故障について情報が発信できればと思います。メモリー故障につきまして、ご意見、ご質問、ご感想などありましたら、主任野口迄お願いいたします。

 

参考情報:

1.RENESAS 信頼性情報
2.三菱電機 半導体信頼性情報 
3.東芝セミコンダクター 信頼性データ 
4.NECエレクトロニクス 半導体 品質/信頼性ハンドブック (2003年7月)
5.多田電気株式会社

 
 
 



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